研究課題
分子線エピタキシー法を用いて、NdFeAs(O,F)薄膜の成長に取り組んだ。この系は、鉄系超伝導体で転移温度が最も高い一方、フッ素ドープが困難という問題がある。昨年度は母相薄膜をバッファとする手法を試みたが、今年度はマイグレーションを上げる工夫をし、さらに成膜条件を再検討した結果、バッファ層を用いずに単相のフッ素ドープ薄膜を得ることが出来た。この手法で成長した薄膜は最上層まで超伝導相であるため、これにより、昨年度までに確立した平坦なCaF2を積層する手法と組み合わせることで、積層型超伝導接合の作製が可能になった。一方、昨年度薄膜成長に初めて成功したCaFe2As2を、今年度は様々な基板上に成長して結晶性などを評価した。その結果、(La,Sr)(Al,Ta)O3 (LSAT)基板上の薄膜が最も高い結晶性を有すること、基板との相対的な格子不整合によらずc軸長がバルク体より長いこと、これは基板との格子不整合により形成される45°ドメインに圧縮歪が加わり、ドメイン間の結合が強いために結果として薄膜全体のc軸長が伸びるためであること、などを明らかにした。さらに、LSAT基板上にP置換した薄膜を成長し、その電子相図の詳細を調べた。その結果、バルク体より広いP量で薄膜成長が可能であること、その結果として超伝導領域が広がり、これはc軸長の違いでよく整理できること、などを明らかにした。さらに、BaFe2(As,P)2薄膜を用いた接合作製にも取り組んだ。まず、フォトリソグラフィ等による微細加工の条件出しを行ない、これらの薄膜を目的形状に微細加工する手法を確立した。その上で、CaF2絶縁層および対向電極を蒸着して接合を作製した。様々に条件を変えて接合を作製・評価した結果、特に絶縁層膜厚を変えることで、一部にアンドレーエフ反射が重畳した電流-電圧特性を得ることができた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Appl. Phys. Lett.
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