研究課題/領域番号 |
24246008
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
吉本 昌広 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20210776)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 結晶成長 / 半金属 / 分子線エピタキシー / レーザ / 半金属半導体合金 |
研究概要 |
希釈ビスマス系III-V 族混晶は、禁制帯幅が温度無依存化するなど特異な物性を示す半導体半金属混晶である。申請者らが世界に先駆けて切り開いてきた日本発の半導体材料である。本研究の最終目的は、発振波長が温度無依存である半導体レーザを実現することである。具体的には、(1)光通信波長帯で発光する高品質の高Bi含有GaAsBiを制御性良く得る方法を確立し、(2)AlGaAsをクラッド層、GaAsBiを活性層とするヘテロ接合構造を製作し、電流注入レーザ発振を実現する。この過程で、(3)高品質のGaAsBiを用いて、この材料のもつ真の物性を探求する。この目的を達成するために、デバイス品質のGaAsBiを得ることが前提となる。 本年度は、デバイス品質のGaAsBiを得るために、現有のMBE成長装置に新たにMBE成長装置チャンバーを付加した。GaAsBi は300℃から400℃の温度で成長する。真空中でこの温度域にあるGaAsBiの精密測温に特化した放射温度計の開発を進めた。 開発にあたっては、GaAsやGaAsBiの赤外線透過特性に留意した。 高いBi 含有率を有するGaAsBi(Bi含有率最大5%)試料を分子線エピタキシー(MBE)法により成長し、長波長での光励起によるレーザ発振を実現した。従来の発振波長が980nmであったの対して、1110nmまで長波長化した。20℃から80℃における発振波長の温度変化は、特性温度を考慮すると、InGaAsP レーザに比べ、10から50%に低減していることを実証した。 GaAsBiの物性探求の点では、Bi含有量の異なるp形GaAsBiのホール効果とホトルミネセンスの温度特性を体系的に評価することで、Biに起因する局在準位密度は1×10 17cm-3程度であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レーザ発振波長が1.1ミクロンまで長波長化でき、レーザー発振の再現性も得られるようになった。また、レーザダイオードの実現に必須の液体窒素冷却分子線エピタキシー装置は順調に立ち上がっている。高品位のGaAsBiの成長のキイとなる測温装置の開発の目処がついた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、前年度に立ち上げた液体窒素冷却分子線エピタキシー装置を用いて、高品位のGaAsBi/AlGaAsヘテロ構造を実現し、レーザダイオードを試作する。
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