研究課題/領域番号 |
24246019
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
羽根 一博 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50164893)
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研究分担者 |
金森 義明 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10333858)
佐々木 敬 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60633394)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ウエハ接合 / 光エレクトロニクス / MEMS |
研究実績の概要 |
本年度は,SiフォトニクスとGaNフォトニクスを融合した光回路システムおよび電子回路システムのプラットホーム技術をマイクロマシニング技術により開発することを目的に,ハイブリッド基板の製作とそれぞれの基板上のSiおよびGaNデバイスの設計と製作を中心に研究を進め,さらに,Si導波路とGaN導波路の結合のための導波路設計と試作を行った. SiのSOIウエハを用いて,Si細線導波路を製作した.さらに製作したSi導波路の伝搬特性を測定し,十分な低損失で1.55μmのレーザ光を伝搬させることができることを示した.この導波路の上にGaN導波路を形成するために,スピンオングラスを用いて,Si基板上に結晶成長したGaN薄膜のウエハを接合する技術を開発した.さらに,張り合わせたウエハにおいてGaN/Si基板のSi基板をシリコンの深堀エッチングにより除去し,GaN層がSOI基板に張り合わされたウエハを実現した.その後,GaN層を目的の厚さまでエッチングし,GaN層にリング形状のパターンを下層のSi導波路に位置合わせした状態で転写した.さらにGaN層をエッチングし,GaNマイクロリングを形成できた.下層のSi導波路に光を伝搬させ,上層のGaNマイクロリングへの結合を実現した.GaNマイクロリングの共振特性を詳細に調べた.共振Q値として,約70000が得られた.自由スペクトル領域は5-15nm程度であった. また,開発した2段階のポリマー接合よる張り合わせによりSi基板上に形成したGaN導波路およびGaNの光学および機械共振構造を製作した.光ファイバーから,GaN導波路に光結合を行い,GaN導波路への光結合を確認した.GaN導波路からGaN共振構造への光結合も確認できた.光熱効果であるが,導波した光による機械共振器の230kHz近傍の共振振動を確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は3年度であるので,開発したウエハ接合法を用いてSiとGaNの結合デバイスおよびSi基板上のGaNデバイスの開発を目指した.開発したウエハの接合技術を用いて,計画したデバイスの主要部分を実現できる基礎技術を実施できた.特に,Si導波路とGaNリング導波路のハイブリッド形成において,導波路結合が行えるような精密な位置合わせが実現できたことは有用な成果と考えられる.また,SiウエハとGaN層をポリマーで接合する方法においても,接合したGaN層から,光学およびマイクロ機械デバイスを製作できことを示すことができた
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今後の研究の推進方策 |
今後も研究計画に従い,研究を進める.具体的には,製作できたGaNマイクロリングを利用し,電界が印加できる電極層構造をさらに上層に形成する.これにより,シリコン導波路を伝搬する光をGaNマイクロリングで制御できるハイブリッドの光変調器の実現を目指す.電極を形成するために,さらに絶縁層を形成する必要があるが,これまで開発したハイブリッド構造とのプロセス整合性を明らかにし,電極と導波路との干渉を避けるような構造を設計し,製作プロセスを開発する.さらにSi導波路に結合したGaNマイクロリングの可変特性を明らかにする.これらの研究によりSiとGaN導波路のハイブリッド回路において光回路特性を測定する.
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