本年度は,SiフォトニクスとGaNフォトニクスを融合した光回路システムおよび電子回路システムのプラットホーム技術をマイクロマシニング技術により開発することを目的に,GaNリング導波路とシリコン導波路の結合特性およびフィルタ特性について光導波路およびフィルタ特性を詳細に評価し,光電効果による変調方式を設計した. Si基板上に結晶成長したGaN薄膜のウエハを接合する技術において,高度に位置合わせできるように改良した.さらに,GaN導波路に電界を印加するための電極の設計を行った.電極として基板SOIウエハのSi導波路と同じSi層を一部残して,電極とする構造で,設計と試作を行った.また,電界効果のシミュレーションを行い,電界誘起屈折率変化(ポッケル効果)の程度を見積もった. SOIの張り合わせ用基板ウエハにおいて,Si細線導波路と電界印加用Si電極を形成した.そのウエハとGaN/Si基板のウエハをスピンオングラスにより張り合わせた.断面形状を確認し,張り合わせたウエハの隙間に空隙がないことを確認した.下層のSi導波路に光を伝搬させ,上層のGaNマイクロリングへの結合を実現した.加えて,SOI基板のSi電界に電圧を印加し,漏れ電流等がないことを確認した.加えて,印加電圧の周波数依存性を明らかにした.GaNマイクロリングの共振特性を詳細に調べた.内部共振Q値として,約64000が得られた. また,製作したGaN/Siマイクロリングに,GaNリングが吸収できる波長(325nm)のレーザ光を照射し,GaN導波路中の電子の励起と緩和(熱過程)により,外部光による導波路光の変調を試みた.リングの透過帯域が光照射により変調される効果により,リング透過光の変調が周波数10kHzまで行えることを示した.これにより,全光方式の光変調法を実現できることを示した.
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