研究課題
基盤研究(A)
プリズムカップルKBBF素子ではKBBFの研磨精度(平行度・粗さ)の向上により、界面における損失を低減した。この素子は東京大学物性研究所(物性研)の光電子分光用光源に供し、8eVでは1μWの出力を得た。また7eV光源を用いた超高分解能光電子分光により、超伝導体などの物性研究に貢献した。TW級レーザーの開発においては、キヤノンと共同で世界最大の高効率透過グレーティングを開発した。回折効率は95%以上で、実際の装置のパルス圧縮器のスループットは80%に達した。これは日本の主な研究所で使われ始めている。広帯域波長変換法により2倍波を発生し、400nmにおいて16フェムト秒で1.6W(1kHz)の出力を得た。またKBBFを用いた二重広帯域波長変換法により200nm(6.2 eV)において50フェムト秒で30mWの出力を得た。ピコ秒モード同期チタンサファイアレーザーの2段外部共振器により4倍波を発生した。2段目では、中国科学院で開発されたブリュースター角で入射するプリズムカップルKBBF素子を用いて、199nmにおいて32mW(繰り返し82MHz)の出力を得た(関係論文印刷中)。高次高波長の発生においてはパルスガスジェットの最適化を行い、また差動排気システムを構築した。また斜入射分光器の調整とMCPの画像処理装置により軟X線領域までの高調波の観測が可能となった。また物性研との共同研究において2サイクルの超短パルスを1.6μm帯で発生し、水の窓領域(2.3~4.4nm)において高次高調波のキャリアーエンベロップ効果を観測した。
2: おおむね順調に進展している
研究計画では(1)KBBF素子の改良、(2)TW級レーザーを用いた広帯域波長変換(BFD)による2倍波の発生と二重BFDによる4倍波(6.2eV)の発生、(3)ピコ秒モード同期チタンサファイアレーザーの2段階外部キャビティーによる4倍波発生、(4)高次高調波の発生装置と軟X線分光器の整備を目標としたが、いずれも目標を達成した。予想以上であったのが、東京大学物性研究所との共同研究であり、こちらから提供したKBBF素子を用いた光源を用いて、数々の物性研究上の成果があがった。
基本的には当初の計画通りに進める。KBBFは今後も改良を続ける。TW級レーザーではBBOを4倍波用結晶として用い、KBBFに比べて長波長(220nm)となるが、20フェムト秒で200mW(繰り返し1kHz)の出力を目指す。ピコ秒チタンサファイアレーザーでは5倍波(160nm)の発生の準備を行う。また高調波では、多波長光源による高出力高調波の実験を行う。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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