研究課題
新型プリズムカップルKBBFデバイスを開発し、8eV光源の高出力化(3μW)を達成し、7eV光源とともに東京大学物性研究所(物性研)での超伝導体の超高分解能光電子分光に供した(Sci.Rep, Phys.Rev.B)。キャノンと共同で高効率(97%)大口径透過グレーティングを開発し、曲がりに対する波面の歪みを測定し、反射防止膜による波面歪みを無視できる程度に低減し、10TW級の高出力レーザーに使えることを示した(Opt.Express)。このデバイスは国内外の主要な研究室で使われつつある。またこのグレーティングを用い、高繰り返し(10MHz)高出力ファイバーレーザーを物性研と共同で開発した(Opt.Express)。 BBOを用いた二重広帯域波長変換法により220nmにおいて100mWの出力を得、880nm光(ω)と220nm光(4ω)による、2色電場下の高調波実験を準備した。また多波長光源を用いた高次高調波の高出力化の配置を完成した。ピコ秒モード同期チタンサファイアレーザーの2段外部共振器により4倍波を発生し(Opt.Commun.)、真空紫外域の5倍波(160nm)発生のための真空紫外分光装置を完成し、準連続160nm光源を目指している。物性研と共同でキャリアエンベロップ制御された2サイクル1.6μmレーザーを開発し、水の窓領域での高調波位相を初めて観測し、水の窓領域でのアト秒パルス発生の展望を開いた(Nature.Communi.)。
2: おおむね順調に進展している
研究計画では(1)KBBF素子の改良、(2)TW級レーザーを用いた広帯域波長変換(BFD)による2倍波の発生と二重BFDによる4倍波の発生、(3)ピコ秒モード同期チタンサファイアレーザーの2段階外部キャビティーによる4倍波発生、(4)高次高調波の発生装置と軟X線分光器の整備を目標としたが、いずれも目標を達成した。予想以上であったのが、東京大学物性研究所との共同研究であり、こちらから提供したKBBF素子を用いた光源を用いて、数々の物性研究上の成果があがった。また、キャノンと共同開発した透過グレーティングは我国の技術の高さを世界にアピールした。
基本的には当初の計画通りに進める。KBBFは今後も改良を続ける。TW級レーザーではBBOを4倍波用結晶として用い、220nmで100mWを得たが、基本波(880nm)との2色電場下の高調波発生を行う。ピコ秒チタンサファイアレーザーでは5倍波(160nm)発生実験を行う。引続き物性研との共同研究では7、8eV光源用のKBBF素子を供する。また、水の窓でのアト秒パルス発生を支援する。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (10件)
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