研究課題/領域番号 |
24246031
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
岩井 善郎 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40115291)
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研究分担者 |
堀川 教世 富山県立大学, 工学部, 准教授 (10363871)
阿保 政義 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40231980)
神田 一隆 福井工業大学, 工学部, 教授 (60091675)
宮島 敏郎 富山県立大学, 工学部, 講師 (60397239)
米沢 晋 福井大学, 産学官連携本部, 教授 (80242585)
本田 知己 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80251982)
上坂 裕之 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90362318)
南部 紘一郎 鈴鹿工業高等専門学校, 機械工学科, 助教 (20610942)
土屋 能成 岐阜大学, 複合材料研究センター, 特任教授 (10394404)
木幡 護 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 特命助教 (90711432)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | トライボロジー / 薄膜強度評価 / 硬質薄膜 / 軟質薄膜 / 表面強度 |
研究概要 |
1) MSE装置に表面形状測定器を搭載して自動計測が可能な全自動MSE装置を完成させ、各種材料の試験を行いデータ収集と装置の改善を図った。 2)異なる成膜方法・成膜条件で作製されたDLC膜を対象にMSE試験を行い,ほぼ同じ硬さであっても摩耗率が異なるDLC膜が存在し、損傷面の観察やラマン分光分析の結果等から、水素含有率に起因する膜構造の違いによることが示唆され、MSE法はDLC膜の表面強度の評価において有用であることがわかった。また、超高速成膜と従来のSi-DLC膜との間で硬さやSi/C比が揃ったDLC膜の成膜条件と膜組成の関係を明らかにした。 3)切削工具用セラミックス膜のMSE試験を行い、PVD法で作製されたTiCN系被膜では、成膜装置内の設置場所により違いがあることを識別できた。また、2種類の成膜方法で作製されたVC膜に対して、アルミナ粒子(粒径1.2μm)と球形ジルコニア粒子(40μm)を用いたMSE試験を行い、後者では成膜方法により摩耗率に違いが現われた。AIP法とUBMS法の2種類の成膜法により高速度工具鋼に被覆されたTiAlN膜についてMSE法で推定される膜強度は、膜の残留応力と硬さよりも化学組成に影響されることがわかった。 4)燃料電池用電解質膜のMSE試験結果は有効な劣化指標となる可能性が示唆された。多様な密着状態を持った試料についての基礎的研究として、XPSおよびAESにより表面、界面(断面)の化学結合状態に関する情報収集と解析、また、SEM、TEMによる形態や元素分布観察を行い、基材と皮膜間の密着メカニズムについて考察した。 5)MSE法における影響因子を解明するため,硬さの異なる基材に単一粒子が衝突する場合の有限要素法によるシミュレーションを行い、圧痕形状が基材降伏応力に依存することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 研究目的の大きな課題である自動計測機能を有するMSE自動機を完成させ、効率的なMSE試験の実施を可能とした点。 2. 産業界で注目されているにもかかわらず膜質や膜強度の評価法が未だ十分に確立されていないDLC膜について、MSE摩耗率と水素含有率の間に良い正の相関関係があることを見出して、MSE法の有用性を明らかにし、学術論文を完成させた点。 3. 各種薄膜および組成の異なる種々の超硬合金のMSE試験を実施して、系統的なデータを収集し、MSE試験による材料表面強度評価結果を提示して、MSE評価法の意義と今後の発展性を示した点。 4. 固体粒子衝突による材料表面の変形を数値シミュレーションできるモデルを構築して影響因子の考察を行った点。
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今後の研究の推進方策 |
申請時の研究計画とロードマップは多面的に十分に検討したものであり、初年度(24年度)に引き続き25年度も着実に研究成果が得られていることから、研究計画は妥当であることがわかった。当初の計画に沿って推進すると共に、26年度は3年目であることや25年度から新たに加わった3名の研究分担者の成果も期待できるので、これまで以上に研究者相互の情報交換を密にして、多大な成果を目指したい。
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