研究課題/領域番号 |
24246046
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
千葉 明 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (30207287)
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研究分担者 |
杉元 紘也 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (60613552)
朝間 淳一 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70447522)
竹本 真紹 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (80313336)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ベアリングレスモータ / 磁気浮上 / 磁気支持 / 磁気軸受 / ワイドギャップ |
研究概要 |
磁気浮上して非接触で回転するベアリングレスモータは,回転子半径Rに対して,固定子と回転子の間のギャップ長gの比g/R(ギャップファクタ)が,0.01以下である場合が多い。回転子半径を変えず,単にギャップ長を大きくすると,(a)能動的な支持力が減少し,タッチダウン位置からスタートアップできない恐れがある。また,(b)ギャップ磁束密度が低下し,受動的な支持力が低下し,さらに,(c)トルクが低下する。本研究課題では,g/Rが0.1以上で,かつ(a),(b),(c)の各問題が解決可能な新しいワイドギャップベアリングレスモータを実現するため,大型4軸制御ベアリングレスモータ,中型2軸制御ベアリングレスモータ,小型1軸制御ベアリングレスモータの研究開発を行った。 北海道大学が担当する大型4軸制御ワイドギャップベアリングレスモータに関しては,初年度,三次元有限要素解析により,詳細に解析・設計した10万r/min,2kWのテスト機を実際に製作した。そして,高周波スイッチングに対応可能なインバータドライブシステムを作製した。 静岡大学が担当する中型2軸制御ワイドギャップベアリングレスモータ(磁気ギャップg=8mm,回転子半径R=40mm,ギャップファクタg/R=0.2)に関しては,初年度の設計を基に,平成25年度はタッチダウン位置(中心位置から±1mm離れた初期位置)から磁気浮上が可能なように設計を改良した。次いで,ベアリングレスモータの試作を行った。遠心ポンプへの応用を見据え,固定子・回転子共にエポキシ樹脂でモールドして防水構造とした。 東京工業大学が担当する小型1軸制御ベアリングレスモータに関しては,初年度に製作したギャップファクタg/R=0.2のワイドギャップベアリングレスモータについて実験を行い,3600r/minまでの安定な加速に成功した。また,半径方向の振動低減方法について検討し,実験的に有効性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究実施計画は,初年度の設計,解析結果に基づいて実際にテスト機を製作して基本的な実機検証を行う事であった。 大型4軸制御ワイドギャップベアリングレスモータに関しては,これまでに解析・設計・試作を完了した。そして,10万r/minという超高速回転に対応可能な高周波スイッチングできるインバータドライブシステムを作製し,順調に研究開発が進んでいる。 中型2軸制御ワイドギャップベアリングレスモータに関しては,これまでに三次元有限要素解析による設計を終え,遠心ポンプへの応用を見据えた第一次テスト機の製作まで完了している。 小型1軸制御ワイドギャップベアリングレスモータに関しては,テスト機を用い,実験的に受動的な支持力の向上及びタッチダウン位置からのスタートアップに成功している。また,巻線構造を含めたモータモデルを構築し,理論計算によりトルク増加が可能な新たな構造を検討した。現在,この改良テスト機を製作している状況である。 したがって,おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,平成25年度に製作したワイドギャップベアリングレスモータについて実機試験を行う。すでに実機試験を行っているプロジェクトについては,性能向上,小型化,低コスト化を目指し,三次元有限要素法による解析,設計を行い,改良テスト機の製作,実験を行う予定である。 大型4軸制御ワイドギャップベアリングレスモータに関しては,製作したテスト機とドライブシステムを組み合わせることで超高速回転での安定な軸支持運転を実現すると同時に,超高速回転時におけるスイッチング周波数が与える電動機および軸支持特性への影響を明らかにする予定である。 中型2軸制御ワイドギャップベアリングレスモータに関しては,コントローラ・インバータのチューニングと変位センサの校正を行い,磁気浮上・回転実験を行う予定である。さらに,回転子に羽根車を,固定子にボリュートケーシングを取り付け,遠心ポンプ実験を行う予定である。 小型1軸制御ワイドギャップベアリングレスモータに関しては,主軸の直径を増加し,機械的剛性を向上した回転子を用いて実験を行い,半径方向の振動を評価する。巻線構造を改良した固定子を製作し,実験的にトルクの向上を確認する予定である。 また,さらなる迅速な研究課題の遂行を目指し,平成26年度より東京都市大学においても研究分担を行う予定である。東京工業大学,北海道大学,静岡大学,東京都市大学の各大学で得られた知見やノウハウを共有し,本研究課題を迅速に推進するため,平成25年度に続き,研究発表会を開催する予定である。さらに,ベアリングレスモータの知見が高い東京工業大学名誉教授の深尾正氏,カナダのメモリアル大学ラーマン教授から研究の方向性,論文発表の方向性等について,アドバイスを頂く予定である。研究を遂行する上での問題点はなく,当初の計画通り順調に進むと考えられる。国際ジャーナル論文誌に論文投稿を行う予定である。
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