研究課題/領域番号 |
24246047
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
藤本 康孝 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (60313475)
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研究分担者 |
河村 篤男 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (80186139)
下野 誠通 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (90513292)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アクチュエータ / 電気機器 / 運動支援システム / スパイラルモータ |
研究概要 |
平成25年度は、4つの研究目標:①スパイラルモータの高推力密度設計法、②スパイラルモータの高効率駆動回路開発、③スパイラルモータの高精度運動制御、④スパイラルモータを用いた機械-人間系の力の諸特性の解明、のうち①スパイラルモータの高推力密度設計法、②高効率駆動回路開発、③高精度運動制御に取り組んだ。 〔①-2 高推力密度設計法〕平成24年度に行った推力密度・損失のモデル化およびパラメータ化について、検証および精緻化を行った。また、平成24年度に試作した薄型ヨーク、薄型コイル、薄型磁石に改良を加え、短リード長スパイラルモータの試作を進めた。 〔②-2 高効率駆動回路開発〕平成24年度に基本設計を行ったスパイラルモータ駆動用高効率インバータ回路の検討を行った。 〔③-2 高精度運動制御〕スパイラルモータの機械損を低減し、高精度運動制御を実現するために必要不可欠な磁気浮上制御の実装と改良を行った。本モータは、機械的な接触をなくすために、電磁力によって可動子を固定子のギャップ間に浮上させる。理論上はギャップ中心に磁石吸引力の不安定平衡点が存在するのだが、製作精度などの問題から、実際の平衡点は中心からずれており、かつ、その平衡点の位置は容易には知ることができない。そこで、前年度③-1で取り組んだ製作精度向上と併せて、新しい制御則を開発することで、この目標を達成した。具体的には、ギャップ変位を自動的に力学的平衡点に移動させるゼロパワー制御の改良を行った。この制御により力学的平衡点を移動させ、極めて小さい電流で制御帯域以下の負荷力に拮抗させることができ、高精度かつ省エネルギーな制御が実現できた。 これらの成果に関して、IEEE IECON, IEEE ISIE, IEEE HTC, IEEE AMC, 日本ロボット学会学術講演会、電気学会産業応用部門大会、電気学会メカトロニクス制御研究会において、研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、将来の少子高齢化社会における作業支援および介護支援を可能にする、小型高推力スパイラルモータを用いた安全な運動支援システムの開発を目的としている。具体的には、人との接触を伴う機械システムにおける人との衝突時の衝撃力の低減、および、パワーアシスト制御における微小力制御の実現を目指している。 2年目である2013年度は、運動支援システムに適用可能な小型スパイラルモータの開発とその高精度運動制御に注力しており、おおむね計画通りの進捗が見られた。特に、ギャップ変位を自動的に力学的平衡点に移動させるゼロパワー制御の改良を行い、極めて小さい電流で制御帯域以下の負荷力に拮抗させることができ、高精度かつ省エネルギーな制御が実現できた点は重要である。 また、ティース表面を切削加工することでギャップ長を均一化した高精度スパイラルモータを製作し、磁気浮上制御、ゼロパワー制御、位置制御、力制御の高精度化に成功した。 以上から、当初の計画通りに研究が進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
最終目標である、スパイラルモータの特性を活かした人との接触を前提とした機械-人間系の制御システムの研究開発を行う。2年目である2013年度までに、高精度スパイラルモータの製作と制御に成功したことから、同一仕様のスパイラルモータをもう1台製作する。このスパイラルモータを筋駆動用アクチュエータとして組み込んだロボットアームの試作を行う。その後、試作したシステムの基本的な運動制御系の構築を行う。また、この実験装置を用いて人間系のインピーダンスモデルの同定を行う。得られた結果を元に、人との衝突時の衝撃力の低減法について検討を行う。具体的には、スパイラルモータの広帯域力制御による能動的な衝撃力緩和制御の検討を行う。また、並行して、このロボットアームを用いたパワーアシスト制御にも取り組み、スパイラルモータを用いることで従来技術では困難であった微小力のアシストおよび大きな力のアシストを単一のシステムで実現する。
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