研究概要 |
本年度は以下の項目を実施し知見を得た。 (I). 新モジュール構造(ユニレグ型)の低熱損失化高強度構造化 有限要素法 「ANSYS」によってMg2Si発電素子およびユニレグ構造の熱-電気解析を行い、作製したMg2Si発電素子の発電特性との比較を行った。今年度は特に、動作想定温度600℃での発電素子形状(断面積、高さ)および熱流の関係、ユニレグ構造における発電素子間金属配線の断面形状が発電出力に与える影響を調査し、現在使用しているMg2Si原料特性に対する素子形状と出力の関係を明らかにした。結果として、5x5x7.5 mm3の発電素子を1mm 厚のCu平板配線で構成したユニレグ構造が有効であることが示唆された。 Sbを0.5 at%添加したMg2Si多結晶体から焼結体を作製する際に、金属バインダー(Ni, Cu, Al, Zn)を導入して試料作製し機械的特性を測定した。超音波試験法、ナノインデンテーション法、4点曲げ試験法を実施し、Mg2Siに関する破壊靭性値(~1.5MP√m)、ヤング率(~140GPa:インデンテーション、~110GPa:超音波)、曲げ強度(~60 MPa)、硬さ(~700)を得た。試験結果より、バインダーを入れることで、バインダー無しの試料と同等、あるいはそれ以上の機械的特性を示すことがわかった。 (II).計算科学手法による Mg2Siドーピング特性 第一原理計算コードQuantum EspressoとABCAPを用い、Mg2Siに典型的な不純物元素Al, Bi, Sb, Asを添加した際の最安定な置換状態、および、結晶構造における最小エネルギーとなる格子定数を算出し、構造安定性、置換型およびSeebeck係数への影響を評価した。本年度は、添加不純物濃度が~数十原子%オーダーの系について計算を行い、Mg2Siへの内部構造、電子の状態に与える影響を評価した。
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