研究課題/領域番号 |
24246054
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宮崎 誠一 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70190759)
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研究分担者 |
村上 秀樹 広島大学, 先端物質科学研究科, 助教 (70314739)
牧原 克典 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90553561)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 量子ドット |
研究概要 |
本年度は、SiH4とGeH4のLPCVDにおいて、反応初期過程を交互に精密制御することによって、熱酸化膜上にスーパーアトム構造(Ge核を有するSi量子ドット)を高密度形成した。さらには、GeH4のCVD中にHe希釈1% PH3をパルス的に導入し、Pのデルタドーピングを行い、Geコア内へのドナー不純物添加が発光特性に及ぼす影響を調べた。 作成した試料の表面形状像において、ドット(面密度:~10^11cm^-2、平均ドット高さ:~8.0nm)の形成が認められた。また、各LPCVD後における表面形状像において、ドットの面密度に変化は認められず、第一段階目のSiH4-LPCVDおよびGeH4-LPCVDを行った後では、個々のドット高さが~2nm増大し、その後、SiH4-LPCVDを行った結果、ドットサイズの増加が確認されたことから、GeコアSi量子ドットが高密度一括形成できていることが示唆される。尚、Geコア形成時におけるPデルタドーピングの有無によるドット面密度およびサイズの違いは認められなかった。形成した真性GeコアSi量子ドットの室温PL測定をした結果、Siクラッドからの発光に起因した近赤外領域の室温発光が認められず、GeコアからのPL成分が観測された。一方、PドープGeコアSi量子ドットでは、真正Geコアからの発光に加えて~1780nm近傍に新たな発光ピークが確認された。これらの結果は、GeコアSi量子ドットでは光生成キャリアの空間分離の顕在化で解釈でき、GeコアへのP添加では、Pドナー準位を介した発光が顕在化したことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請では、シリコン系スーパーアトム構造における電子相関現象と機能を実験的に探索することを目標・目的としており、本年度は、スーパーアトム構造の高密度形成技術を確立し、光照射時におけるスーパーアトム構造内でのキャリアダイナミックスを明らかにしており、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、スーパーアトムを一次元、二次元および三次元に高密度規則配列し、多重連結スーパーアトム系のキャリア輸送やダイナミックスを精査して、孤立した量子ドットにはみられない電子相関機能を明らかにする。これにより、従来理論検討に留まっているセルオートマトンに代表される量子情報処理デバイスの開発指針を得る。
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