研究課題/領域番号 |
24246060
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 徹 東北大学, 大学院医工学研究科, 教授 (40417382)
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研究分担者 |
清山 浩司 長崎総合科学大学, 工学部, 講師 (60412722)
富田 浩史 岩手大学, 工学部, 教授 (40302088)
福島 誉史 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (10374969)
小柳 光正 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (60205531)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 人工網膜 / 高次視覚処理 / 三次元集積回路 / 半導体神経工学 |
研究概要 |
(1)LSIチップ積層化技術及び眼球内に埋め込む各部品の一体化集積技術 高解像視覚再生用の微細刺激電極に関して、網膜細胞を安全に刺激可能な電極材料の検討を行った。Pt・IrOx・PEDOT・RagPtを材料とする刺激電極をフレキシブルケーブル上にそれぞれ作製し、電極表面のAFM測定からPEDOT電極とRagPt電極がその他の電極に比べて10倍近い表面粗さであり、大きな反応面積を有していることを確認した。また、刺激電極の電気化学インピーダンス(EIS)と電荷注入能力(CIC)の測定を行った。その結果、IrOx・PEDOT・RagPtの各電極はPt電極に比べて1/10以下の大きさのインピーダンス(周波数1 kHz)であった。これらの材料を刺激電極に採用することで刺激回路の出力抵抗が減少し電気刺激に必要な電力が小さくなる。また、PEDOT・RagPtの各電極がその他の電極の約10倍のCICを有していることを確認し、目標の注入電荷密度である1.44 mC/cm2を達成した。PEDOT電極を用いたin vivo実験も行い、ウサギ網膜を電気刺激して視覚野からEEPを測定することに成功した。EEPの大きさは刺激電流パルスの振幅と幅に依存していることを明らかにした。 (2)超低消費電力人工網膜用LSI 回路技術の確立 4近傍ラプラシアンフィルタを利用したエッジ強調回路付き人工網膜LSIを開発し、エッジ強調機能による低消費電力特性を評価した。5x5ピクセルの画素回路に照度20 lx~600 lxのグラデーション画像を入力し、エッジ強調機能の有無と消費電力の関係を求めた。エッジ強調回路は、CMOS 0.25 µm 1P5M技術を用いて設計した。SPICEシミュレーション結果から、エッジ強調機能が有る場合の消費電力は同機能が無い場合力よりも28%も低く、大幅に低電力化できることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね予定通りに進捗し、H24年度研究項目記載の目標を達成している。
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今後の研究の推進方策 |
申請書記載の積層人工網膜チップとフレキシブルケーブルの接続プロセスの低温化、電力伝送回路の低電力化、人工網膜モジュールの信頼性検証に注力し、研究を推進していく。必要に応じて動物実験の回数を増やして信頼性検証作業を加速していく予定である。
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