研究課題
基盤研究(A)
(1)PCFの安定したファイバ化条件の理論的検討および実験的検証を行い、高非線形ガラスを用いたPCF作製技術を確立した。また、カルコゲナイドやテルライトファイバ等の低軟化高非線形ガラス光ファイバ用のテーパーファイバ作製装置を作製し、テーパー形状設定を自由度高くしたテーパーPCF作製を可能とした。(2)As2S3ガラスを使ったPCFの作製に成功した。さらに、ファイバのテーパー化にも成功し2μmのフェムト秒レ-ザ励起により、1から4.5μmを超えるスーパーコンティニューム(SC: Supercontinuum)光の発生に成功した。(3)フィラメンテイションにより導波路構造を形成しSC発生を行った。その結果、テルライトガラスで0.6から6μmにおよぶ広帯域SCの発生に成功した。また、フッ化物ガラスを用いて0.2から8μmにおよぶ5オクターブの超広帯域SCの発生に成功した。フッ化物ガラスでは、20dB帯域幅が0.39から7.4μmであった。このような広帯域なSCの発生は、これまでには観測されてなく、この研究により初めて観測した。(4)石英ファイバを用い高出力SC光源を開発し、可視域から2.2μmの波長域の広帯域波長分散が測定可能な分散測定装置を開発した。これを用いてテルライトPCFの広帯域波長分散特性の実測に初めて成功した。(5)中赤外領域の光透過特性優れたカルコゲナイドガラスの候補としてGe-Ga-Sb-S系およびGe-Ga-Sb-Te系ガラスの素材研究を進めた。コアガラスとしてのGe-Ga-Sb-Te系ガラス、およびクラッドガラスとしてのGe-Ga-Sb-S系ガラスを用いることにより屈折率差を0.5付けることができること明らかにした。また、テルライトガラスをコアとする場合、フォスフェイトガラスをクラッドとすることにより、屈折率差を0.5付けることができることを明らかにした。
1: 当初の計画以上に進展している
(1)中赤外SC光測定システムを確立でき、各種ファイバのSC測定に有効に活用できるようになった。(2)As2S3テーパーPCFの作製に成功し、4.5μmを超えるSC光の発生に成功した。 (3) テルライトガラスやフッ化物ガラスをSC媒質として、フィラメンテイションにより導波路構造を形成しSC発生を行った。その結果、テルライトガラスで0.6から6μmにおよぶ広帯域SCの発生に成功した。また、フッ化物ガラスを用いて0.2から8μmにおよぶ5オクターブの超広帯域SCの発生に成功した。(4)広帯域波長分散測定装置の立ち上げに成功した。この測定装置では、これまでにない1から2.2μmにおよぶ波長分散測定が可能であり、PCFの波長分散制御に有効に使用できる。(5)ハイブリッドPCFの作製法において、従来のキャスティング法によるPCF構造(穴開き構造)を実現するだけでなく、ガラスロッドに穿孔してPCF構造を実現するという新手法の開発にも成功し、構造制御の自由度を上げられた。これによって今後のハイブリッドPCFの波長分散制御の更なる進展が期待できるようになった。さらにPCFの安定したファイバ化条件の理論的検討および実験的検証を行い、低軟化高非線形ガラスを用いたPCF作製技術を確立したことも今後の研究推進にとって大きな成果である。
(1)広帯域SC実現のためのPCFの基本構造が明らかにし、波長分散制御も可能であることも解明した。今後は、実際に作製したPCFの波長分散の評価が重要になるため、波長分散特性評価手法の高度化が必要になる。(2) PCFの透過特性の向上も重要な課題となると考えられる。そのための作製技術の高度化が求められる。(3)励起手法の検討もさらに重要になると考えられる。また、各種波長および特性の励起光源の開発も重要なると考えられる。さらに、励起光による波長分散の動的変動を解明することが高非線形ファイバによるSC光発生メカニズムの解明に必要になると考えられる。(4)フィラメンテイションによるSC発光がSC光発生限界を見極めるために有効であることを明らかにした。フィラメンテイションにより各種赤外透過ガラスのSC発光特性の限界の解明を今後も続ける。(5)光信号処理への展開では、パラメトリック増幅への応用が重要になると考えられる。研究対象の高非線形PCFの特徴がどのように出せるのか、まずは理論検討を行い極限特性を解明性することが重要である。(6)PCFの伝送特性の動的な制御では、バンドギャップと波長分散の動的制御を光カー効果を使って、その可能性からチャレンジしたい。
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