研究課題/領域番号 |
24246067
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
小花 貞夫 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (60395043)
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研究分担者 |
藤井 威生 電気通信大学, 先端ワイヤレスコミュニケーション研究センター, 教授 (10327710)
山尾 泰 電気通信大学, 先端ワイヤレスコミュニケーション研究センター, 教授 (10436735)
唐沢 好男 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (40313407)
中嶋 信生 電気通信大学, 産学官連携センター, 特任教授 (70323889)
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研究期間 (年度) |
2012-05-31 – 2016-03-31
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キーワード | 高度道路交通システム(ITS) / 車車間通信 / 路車間通信 / コグニティブ無線 / ネットワークコーディング / 高精度位置測位 / クロスレイヤ協調 / 大規模シミュレーション |
研究実績の概要 |
【測位精度の向上】高精度自律航法用各種センサ(歩幅、地磁気、ジャイロ、DGPS)を一体化した装置の特性を実験的に検討した。超音波測距で1歩毎の歩幅を測ることにより、歩幅が変化しても誤差が大きくならずに測距できることを確認した。測定ログより歩行軌跡が得られるようになった。 【通信容量の増大・伝達系の多様化】マルチバンド・マルチシステムアグリゲーション手法に関する検討を行った。ここでは、マルチホップネットワークで協調して伝送する手法を提案し、帯域選択法の検討を行った。また、帯域選択に活用するための無線環境認識手法の検討を行い、周辺ノードの状況を観測する手法を検討した。 【通信エリアと信頼度の向上】前年度提案した、中継局で複数のパケットのペイロードを合成して一つのパケットで送信するペイロード合成中継方式の効果をシミュレーションにより確認し、従来に比べて特性を大きく改善できることを示した。また移動する車両が道路周辺のセンサや情報提供端末から情報を得られるV2Mシステムを提案し、その通信信頼度を解析した。 【システムアーキテクチャ・クロスレイヤ協調】車車間通信により周辺車両どうしが道路や交通の状況に関する情報を効率的に共有できるように、互いの位置情報から中継車両の送信優先度を一意に決定するクロスレイヤ協調の転送制御方式を検討した。また、歩行者事故低減のために、歩行者状態等のコンテクスト情報に基づき危険度の高い歩行者がその存在を優先的に周辺車両に通知可能とする送信制御方式を検討した。また、車車間通信で交換される情報を路側機や移動端末の位置推定に応用する技術を考案した。 【大規模システム性能評価技術】ある車両から見て、その車両が受信すべき範囲内の車両の送信のみを考慮するとともに、その受信に影響を与える干渉車両の範囲を受信感度で決まる平均通信可能距離の2倍程度に限定する方式を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
個別課題について概ね当初の計画通り、あるいは計画以上に進展している。【測位精度の向上】では、高精度な超音波歩測とDGPSを実装し、センサを無線化して装着性を向上するなど、実用レベルの機能と構成を実現した。【通信容量の増大・伝達系の多様化】では、帯域選択のための無線環境認識手法により、周辺ノードの状況を確実に把握できることが確認できた。【通信エリアと信頼度の向上】では、中継による信頼度向上効果を高めるための中継トラヒックの圧縮法の効果が大きいことを、交差点環境を想定した大規模シミュレーションで明らかにした。【システムアーキテクチャ・クロスレイヤ協調】では、交通事故抑制のために車両や歩行者の各種センタ・モニタ情報を周辺車両で共有するアプリケーションを実現するための通信制御方式を検討した。加えて車車間通信を応用して路側機や移動端末の位置を推定する技術を考案した。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題の進展について、特に問題はない。今後、【測位精度の向上】では、歩幅および方位(地磁気、ジャイロ)のより高精度な測定とアルゴリズムの改良による位置推定精度の向上を図る。【通信容量の増大・伝達系の多様化】では、複数帯域のアグリゲーション利用を想定して、無線環境の観測機能の検討を行い、適応的に選択可能な帯域候補をどのように見つけるかの検討を行う。また前年度までの検討結果と合わせて、車両の動きを考慮した総合的なシミュレーション評価を実施する。【通信エリアと信頼度の向上】では、複数の交差点を含むエリアに車両が分布する環境で、通信信頼度に対する場所および車両密度の影響をネットワークシミュレーションによって分析し、路側機の中継効果を最大にする方法を明らかにする。【システムアーキテクチャ・クロスレイヤ協調】では、今年度検討した車両や歩行者の各種センタ・モニタ情報を周辺車両で共有するアプリケーションについて、実環境を想定したシミュレーション評価を通じてクロスレイヤ協調のシステムアーキテクチャの有効性を検証する。【大規模システム性能評価技術】では、多数の車両が分布する場合において ある車両でのパケット受信成功率に影響を及ぼす実効的な車両を空間的に特定し、ネットワークシミュレーションにおける計算を限定することによる近似誤差について評価する。
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