研究課題/領域番号 |
24246068
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
間瀬 憲一 新潟大学, 自然科学系, フェロー (90313501)
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研究分担者 |
中野 敬介 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80269547)
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研究期間 (年度) |
2012-05-31 – 2017-03-31
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キーワード | アドホックネットワーク / 電気自動車 / センサネットワーク / 災害 / モニタリング |
研究概要 |
高齢化社会、環境問題、自動車産業面の技術開発・政策等の動向に基づき、超小型の電気自動車を中心に電気自動車(以下ミニEV)が普及するユビキタスEV時代の到来を予見し、ミニEVを含む多数のEVを用いたアドホックネットワークの有効性について検討した。特に、EVが停車状態で構成するアドホックネットワークの可能性を調査し、大規模災害時の臨時ネットワーク構築への応用を提案した。 各EVにカメラを始めとするセンサーを取り付け、災害地モニタリングへの利用が考えられる。動画映像を送る実験システムを開発し、ネットワーク輻輳時には動画の圧縮率大きくすることにより、ソースレートを制御する機能の一部を実装し、正常に動作することを確認した。伸縮アンテナポールを用いることにより基地局間の通信特性を大幅に改善し安定化できることを示した。 複数のEVと超小型電気ヘリコプター(EH)が連携する3次元モバイルモニタリングの構想(3DMM)を提案し、EH本体及び自動操縦の基本機能の部分試作を行うと共に、手動による遠隔操縦が可能であることを確認した。さらにコンピュータによるEHの自動操縦をめざし、試作機の性能調査、自動操縦プログラム開発の予備検討を行った。また、EHの自動操縦を可能にするため、EH搭載のGPSと気圧計の測定データを特定小電力無線により測定し、EV上のコンピュータに転送するシステムを開発した。 EHの自動操縦EVの大容量バッテリによりEHのバッテリ充電を行うことにより、EHの飛行時間の延長が可能であることを数値モデルにより示した。また,EVとEHの連携による効率的な被災地モニタリングを実現するためのモニタリングエリアの割当問題を定式化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全般的な研究計画はほぼ当初予定通り進捗している。ミニEVを用いたアドホックネットワークの主要アプリケーションとして、平常時には環境情報収集、大規模災害時には被災地モニタリングに的を絞ることにより、検討を深めることができた。 ミニEVを用いたアドホックネットワークの主要用途のひとつとして大規模災害時の被災状況モニタリングを中心に研究活動を進める中で、EVと無人・超小型軽量の電気ヘリコプター(ミニEH)を組み合わる新たな着想が得られた。無人飛翔体(Unmanned Aerial Vehicle: UAV)のアドホックネットワークへの利用には固定翼を用いた超小型UAVに関して先行研究があるが、燃料制限により数10分程度の航続時間であり、大規模災害時の広大な災害地での利用には大きなネックとなっていた。本着想では、EVにミニEHを搭載することにより、必要な場所へ運搬できると共に、ミニEHのバッテリ切れの場合にはEVの大容量バッテリからの充電が可能である。これにより災害地での地上・空中からの強力かつ長時間のモニタリング活動が可能になる。この前例のない着想の実現に向けて研究計画を再構成した。このように研究計画の大幅な見直しは生じたが、これは研究内容をより先進化させる前向きの見直しであり当初予想以上の進展と言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後もミニEVを用いたアドホックネットワークの主要アプリケーションとして、平常時には環境情報収集、大規模災害時には被災地モニタリングに的を絞ることにより、検討課題の具体化と評価条件の明確化を図り、検討を推進する。環境情報収集利用に関しては、シミュレーションにおいて実際の車のモビリティに近いモデルを利用することにより、より現実的な評価を行うと共に、実験環境を整え、実証的な研究開発を推進する。また、EVとミニEHが連携する被災地モニタリングに関して、ミニEHのコンピュータによる自動操縦のための要素技術の開発とソフトウェア開発を強力に進める。
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