研究課題/領域番号 |
24246072
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
圓福 敬二 九州大学, 超伝導システム科学研究センター, 教授 (20150493)
|
研究分担者 |
吉田 敬 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (30380588)
隈 博幸 長崎国際大学, 薬学部, 准教授 (40435136)
井上 昌睦 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (80346824)
笹山 瑛由 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (60636249)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | バイオセンサ / 免疫検査 / 磁気マーカー / 磁気イメージング / 磁気センサ |
研究実績の概要 |
免疫検査は医療診断や医薬開発の分野で必要となる蛋白質や病原菌などの種々のバイオ物質を検出するための基盤となる検査法である。本研究では、磁気マーカーを用いた磁気的な検査システムを用いて、従来の光学的手法には無い種々の新機能を開発するとともに、 免疫検査実験を通して本検査法の有効性を実証することを目的としている。本年度に得られた主な成果は以下の通りである。
1.磁気ナノ粒子の凝集体から構成される磁気マーカーの特性解析法を高度化し、免疫検査に応用する際に重要となる諸特性(磁気緩和、非線形特性、高調波スペクトル)を定量的に明らかにした。また、これらの諸特性と磁気マーカーの基本パラメータ(磁気モーメントや異方性磁気エネルギー等)の関係を明らかにした。これにより、免疫検査に適した磁気マーカーの選定を可能にするとともに、マーカー特性に応じた測定システムの最適化を行った。 2.申請者等の開発してきた固定用ポリマービーズを用いたBF (Bound/Free) 分離不要の液相検査手法と検出システムを高度化した。「磁場中免疫反応」と呼ぶ新規な方法を開発し、未結合マーカーの凝集による疑似信号の増大を抑制することに成功し、免疫検査の高感度化を可能とした。ビオチンの検出実験では、アトモルレベルの検出感度が得られており、BF分離不要での液相検査法の高感度性を実証した。 3.免疫検査を乳癌の体内診断へと展開するための磁気ナノ粒子イメージングシステムを開発した。傾斜磁場と第3高調波測定法を用いた計測手法を高度化し、深さ50 mmの深部にある重さ1μgの磁気マーカーの検出を可能とした。また、計測した磁界マップから磁気マーカーの位置を高精度に推定するため、特異値分解法を用いたイメージング手法を開発した。これにより、深さ50 mmの深部で間隔15 mm離れて設置した二つの磁気マーカーサンプルの識別を可能とした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は昨年度に引き続き、1) 磁気マーカーの特性解明、2) 液相免疫検査法の高感度化、及び、3) 磁気イメージングシステムの開発を行ったが、当初の計画に比べて大きな進展が得られた。特に、「磁場中免疫反応法」の開発によりアトモルレベルの微量なバイオ物質検出の際の問題を大幅に低減し、液相検査法の高感度化を可能にするとともに再現性を高めることに成功した。また、磁気イメージングのための検出手法を高めるとともにデータ解析法を高度化し、50 mmの深部に集積した磁気粒子を検出する際の空間分解能を大幅に改善した。これらの成果により磁気的なバイオ免疫検査システムのための要素技術を高度化するとともに、高性能システム開発のための指針を明らかにすることが出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで当初の計画以上に研究が進展しており、今後の研究遂行においても特に大きな問題はないと思われる。本年度までに得られた成果を発展させてそれぞれの要素技術を高度化するとともに、これらを統合して従来の光学的手法には無い新規な機能を持った磁気的なバイオ免疫検査システムの開発を行っていく予定である。
|