研究課題/領域番号 |
24246077
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
佐藤 良一 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任教授 (20016702)
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研究分担者 |
宮沢 伸吾 足利工業大学, 工学部, 教授 (10157638)
半井 健一郎 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10359656)
小川 由布子 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30624564)
丸山 一平 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (40363030)
氏家 勲 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (90143669)
河合 研至 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90224716)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 土木材料 / 鉄筋コンクリート / プレストレストコンクリート / 収縮 / クリープ / 過大たわみ / せん断強度 / 鉄筋腐食 |
研究実績の概要 |
市販の普通コンクリートを対象とし、収縮・膨張がRCあるいはPCの構造性能、耐久性能に及ぼす影響について①収縮の実用的算定式、②PC箱型断面張り出し桁のクリープ、収縮による過大たわみの予測、③載荷前の収縮と骨材の破砕値がRCはりの斜めひび割れ発生強度(Vc)におよぼす影響、④収縮によるかぶりコンクリート部の損傷と鉄筋腐食保護性能の評価、の観点から検討した。 ①については、既往の部材寸法・乾燥開始材齢の評価モデルに骨材岩種の影響を表す係数αを取り入れ、収縮が大きく異なる2種類の硬質砂岩を用いたコンクリートの乾燥期間3年までの自己および乾燥収縮ひずみを予測する方法を提案した、②については、2007年制定土木学会示方書設計編の有効曲げ剛性式に断面内上下方向の収縮勾配を取り入れて拡張し、またひび割れた場合にも適用できる有効曲げ剛性を定式化し、月夜野大橋、河成橋の過大たわみおよびひび割れたPRC部材の長期たわみを予測し、実用的な予測式としての妥当性を検証した。③については、収縮は小さいが破砕値の大きい石灰石と収縮の大きさは一般的であるが破砕値の小さい石英粗面岩を用いたRCはりのせん断強度は、前者の場合後者より17%小さいことが明らかとなり、ひび割れのみに留意せず、安全性も考慮すべきことを提示した。また、有効高さ250mm、500mmの膨張RCはりのVcの予測精度は、載荷前の膨張の影響を取り入れた等価鉄筋比を考慮することにより向上することを示した。④については、海水浸漬-乾燥の繰り返し条件下の内部ひび割れが観察できるように工夫した両引き供試体では、載荷履歴、特に持続荷重の影響により腐食速度は極めて大きくなり、この一因として内部ひび割れ幅が広くなることを挙げている。しかし、腐食速度に及ぼす乾燥収縮の違いの影響は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記した自己収縮と乾燥収縮の簡易な予測式の提案、PC桁の過大たわみの実用性の高い予測式の定式化、収縮が小さい一方破砕値の大きい石灰石を用いたRCはりのせん断強度は普通骨材を用いた場合と比べ有意に低下することの実証ならびに膨張コンクリートはりに対する等価鉄筋比の適用性の検証、鉄筋腐食速度に及ぼす持続荷重の影響等にみられるように、概ね順調であると考えている。特に石灰石がせん断強度に及ぼす影響が大きいことや収縮・クリープに関連してPC桁の過大たわみの実用性の高い予測式を定式化しほぼ妥当な予測結果を得たことの意義は大きいと考えている。しかし、RCはりのせん断挙動解析ではひび割れ、最大耐力、初期剛性に対するコンクリートの収縮の影響については実験値を再現するに至らず今後の課題として残された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、収縮についてはセメントの鉱物組成の観点から検討する。収縮がRCはりのせん断強度に及ぼす影響については、有効高さ1000mmの大型はりの場合も収縮による鉄筋ひずみが目標とする300μに達しつつあるので載荷試験を行い寸法効果の観点から検討を進める。収縮が鉄筋腐食に及ぼす影響については最も厳しい条件となる持続荷重下で塩分供給条件を変えて検討する。収縮がせん断強度に及ぼす影響解析では、圧縮部の軟化域がせん断耐力に及ぼす影響についての考慮の仕方が数値解析における最大耐力に影響を及ぼしていると考えられたため,圧縮せん断の考え方が取り入れやすい3次元剛体バネモデルを用いて検討する。
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