研究概要 |
1.構造物被害分析 まず,被災地域の被災状況を詳細に調査し,200を超える橋梁流失が発生していることを明らかにした.ついで,39橋梁を対象に損傷度(A,C)と桁作用力抵抗力比の関係を分析した.また,特に大規模流出が発生した5地区を対象に,現地で撮影された映像分析,数値解析手法から求めた津波流速を用いて津波作用力を産出し,桁抵抗力と比較することにより,その損傷メカニズムを明らかにした.その結果,桁損傷度AとCの平均値はそれぞれ0.89,1.52と明確な相違が認められた.また,得られた実流速を用いて桁作用力を求め,桁抵抗力と比較したところ,ほぼ損傷現象を再現できることが明らかとなった.なお,各地区での最大津波流速は,画像解析と数値解析とも同様の傾向が得られ例えば歌津地区で2~4m/s,小泉地区で5~7m/s,志津川地区で6m/sとなった. 2.土構造物に関する検討 土構造物に対する現地調査により土構造物の損傷状況,洗掘状況を把握した.ついで,遠心模型装置を用いて,種々の法面保護工(三面張工,三面一体型張工,補強土壁工などの5種類)による津波作用力に対する効果評価を実施した.その結果,いずれの法面保護工においても法面保護工自身が津波による流失や損傷を受けなければ,通常盛土タイプと比較すると損傷が大幅に軽減されることを確認した.また,盛土の安定性に影響を与えると思われる下流側法面に形成される落堀や基礎地盤の透水性について通常盛土タイプにおいて実験的検証を実施した.
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