研究課題/領域番号 |
24246089
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大村 達夫 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (30111248)
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研究分担者 |
原田 秀樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70134971)
佐野 大輔 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80550368)
渡部 徹 山形大学, 農学部, 准教授 (10302192)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ノロウイルス / 水環境 / 酸化損傷 / 遺伝子損傷 / カルボニル基 |
研究概要 |
ヒトノロウイルスによる感染症は先進国を含む世界中の国々で発生している。ヒトノロウイルスは、河川や海域等の水環境を介して人間社会を循環していることが示唆されているが、水環境中におけるヒトノロウイルスの動態が完全に解明されるには至っていないのが現状である。本研究は、このヒトノロウイルス感染症の問題に積極的に対処していくために、水環境中におけるヒトノロウイルスの未知動態を解明することを目指しているものである。平成25年度においては、申請者グループが独自に開発したカルボニル基をマーカーとして用いたウイルス粒子酸化損傷検出法が、代表的な胃腸炎ウイルスを含むピコルナウイルス科のウイルスに対して適用可能か否かを検証した。テストウイルスとしては、ピコルナウイルス科に属するメンゴウイルスを採用した。その結果、遊離塩素処理を受けたメンゴイルスの粒子表面上にカルボニル基が生じること、及びカルボニル基の量は遊離塩素処理の強度に依存することが確認された。さらに、カルボニル基量をモニタリングすることで感染価の推定値を算出することが可能であることが確認された。本研究グループでは、これまでにロタウイルス、アストロウイルス及びマウスノロウイルスに対して本手法が適用可能であることを示してきており、本研究によってピコルナウイルスへも適用可能であることが示されたことから、カルボニル基を指標した感染性評価は、ノロウイルスを含むエンベロープを持たない胃腸炎ウイルスに広く適用可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度においては、申請者グループが独自に開発したカルボニル基をマーカーとして用いたウイルス粒子酸化損傷検出法が、水環境中に存在する胃腸炎ウイルスに広く適用可能であることが示された。ヒトノロウイルスの感染能力を実験室において評価することは現在のところ不可能であるが、本年度に得られた成果は、本手法がヒトノロウイルス自体の感染能力を評価することにも適用可能であることを示したものであると言えることから、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度においては、カルボニル基をマーカーとして用いたウイルス粒子酸化損傷検出法を、水環境サンプルから回収されたノロウイルスへ適用することを試みる。水環境中からの濃縮サンプルに対して本手法を適用し、酸化損傷レベルが低いウイルス粒子を精製した上で定量PCRによる遺伝子定量を行う。以上の操作により、酸化損傷を受けることで感染性を失った可能性のあるウイルス粒子を排除した上でノロウイルス存在量を評価する。
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