研究課題
前年度までに開発されたナノ秒パルス電源を用い、スラリー状のセラミックス粒子の超高電場中成型プロセスと、超高電場を印加しながら加熱する事の出来るプロセスの2つの高電圧印加プロセスを開発することに成功した。このプロセスを用いることで、BN、カーボンナノシート、カーボンナノチューブ、バリウムフェライト、チタニアナノチューブなど様々なセラミックスフィラーを配向成型させることに成功した。更に、こうして得られた成型体を焼成することによって、焼結体の合成にも成功した。得られた材料の微細構造を制御するために、FIBによる微細加工とその場でのSEM観察手法による粒子の配向性の解析手法を用い、様々なセラミックス配向体の配向構造を観察することに成功した。また、従来から取り組んできたX線回折法による結晶方位解析と、超高分解能X線CTスキャン法を組み合わせることで、結晶方位とナノレベルの微細構造の双方が配向されていることを確認した。当該手法を用いることによって、単なる配向制御の確認だけで無く、異常粒成長や分散の不均一によって生じた粗大粒子の三次元での空間分布や、ポアなどの欠陥の三次元分布を解析することにも成功しており、これらを総合的に統合することで、これまでにない三次元的な材料構造の解析手法を確立することにも成功している。このように、ナノ秒技術とナノテクを融合させることにより、新規なセラミックスプロセスの提案とその実証に成功し、それを裏付けるための構造解析技術の深化が成し遂げられた。
2: おおむね順調に進展している
すでに、BN、カーボンナノチューブ、グラフェン、グラファイトナノシート、TiO2ナノチューブ、バリウムフェライトなど多くの材料系においてナノ秒パルス電場を用いた粒子配向制御手法が確立している。更に、これらの材料の焼結体の合成に成功しており、その結晶方位解析の結果から、焼結後においても焼結前の配向制御を引きついで結晶配向制御が可能であることを見いだしている。これらの成果は当初予定していたとおりのものであるといえる。
これまでに多くのセラミックス材料系において焼結体の配向制御手法としての本手法の優位性を明らかとしてきた。しかしながらそれら材料の特性評価や、新たな構造を有するセラミックスとしての特異的に発現する特性の発見にまでは至っていない。従って、今後はこれら特徴ある構造を有するセラミックスの内部構造に起因した新規物性面の探索も同時に行っていきたい。ここで、電気物性、磁気特性に関してはすでに既設で研究を遂行可能であるが、遠赤外線領域の分光手法などについては、設備面が整っていないことから、他研究機関などとの連携を視野に入れて行う。
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