研究課題
ファージは抗生物質耐性菌にも感染性を示し新規抗生物質の開発に比べて安価に新規ファージを得ることができる。一方で、標的細菌に感染する適切なファージのスクリーニングに手間がかかることやファージ耐性菌の出現などの問題がある。大腸菌ファージT2を大腸菌DH10Bと共培養する過程で得たファージ耐性菌R1-R4に対し、人為的な変異を導入したT2を感染させた。ファージのロングテールファイバー先端を構成するgp38が宿主への吸着に重要な役割を担っており、特にgene38の約350 bpに渡って存在する変異の割合が高い領域(HVR)が宿主認識特異性に重要であることを明らかとした。ファージの改変は相同組み換え法にCRISPR/Casシステムを組み合わせることで、変異導入の効率が向上した。4回の継代を経て得られたファージM4はgp38の161aaと231aaに点変異が認められた。M4の変異箇所である161aaと231aaにランダムなアミノ酸を置換することを目的に作製した組換え用プラスミド10個のシーケンス解析を行った結果、これらをコードするコドンがそれぞれ多様に変化していた。塩基配列の変異に規則性が見られなかったため、ランダムな変異を持つプラスミドの構築に成功したことが確認出来た。これら変異を有したプラスミドを保持した大腸菌に野生型のT2ファージを感染させて相同組み換えを行い、継代培養で得られた変異ファージと同等かそれ以上の感染性を有する人工ファージを獲得することができた。HVRに人為的に変異を導入したファージ群は様々な感染能を有する究極のカクテル(ファージ混合液)ともいえる。本申請研究で確立した手法はスクリーニングに頼らずファージカクテルを作製する方法に繋がる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Biocontrol Science
巻: 42 ページ: 191-197
ANTIBIOTICS & CHEMOTHERAPY
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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http://www.biochemeng.bio.titech.ac.jp/index.html