研究課題/領域番号 |
24246135
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
永田 晴紀 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40281787)
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研究分担者 |
戸谷 剛 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00301937)
大島 伸行 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10217135)
脇田 督司 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80451441)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ロケット / 燃焼 / 航空宇宙工学 / ハイブリッドロケット |
研究実績の概要 |
(1) 高レイノルズ数域における燃料後退速度式の取得、および遷移レイノルズ数の取得 CAMUI型燃料ブロックの各前端面の後退速度は上流ブロックポート内流量密度のm乗に比例する。この指数mは実験的に得られるが、淀み域での熱伝達機構が支配的な条件では0.5に近付き、壁面噴流域での熱伝達機構が支配的な条件では0.8に近付く。これまでの研究により、レイノルズ数の増大により、淀み域支配から壁面噴流域支配へと熱伝達機構が遷移することが判っている。昨年度の研究により、燃焼室内径100 mm、推力2 kN級地上燃焼モータによりレイノルズ数200,000までの領域でデータ取得を行い、レイノルズ数100,000近傍で熱伝達機構が遷移することが明らかとなった。本年度は燃焼室内径220 mm、推力10 kN級モータを新たに整備してデータ取得を行った。レイノルズ数が500,000を超える領域まで実験的調査を行い、壁面噴流域支配からの更なる熱伝達遷移は起こらないことを確認し、現有の知見で推力数トンクラスの大型モータを設計する目途を得た。 (2) Large Eddy Simulation(LES)による燃焼室内流れ場の構造の解明 昨年度開発された数値モデルは燃料壁面からのガスの湧き出しを含まないものであり、結果として算出される熱伝達量は実験結果より1桁程度大きなものとなった。今年度は新たに壁面からのガス流入モデルを組み込み、実験結果にほぼ一致する熱伝達量を得ることに成功した。 (3) 「流れ場マッピング」の作成および燃料後退速度式の再検討 遷移レイノルズ数に影響を与えるパラメタについては、推力10 kN級までの各モータによる地上燃焼実験でほぼ調査を終え、レイノルズ数100,000前後を境界として、レイノルズ数増大側では壁面噴流域支配を維持することを確認した。これにより、流れ場マッピングの作成はほぼ完了し、従来の後退速度式は修正の必要が無いことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
流れ場マッピングの作成についてはほぼ完成と言える段階まで来ており、Large Eddy Simulation(LES)による燃焼室内流れ場の構造の解明も順調に進展している。以上から、概ね当初計画通りに研究が進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで得られた知見を用いて推力15 kN級モータを新たに設計し、予想通りの推力特性が得られることを確認する。また、これまではレイノルズ数が増大する側で更なる熱伝達機構の遷移が存在するか否かを重点的に調査し、存在しないことをほぼ確認したが、減少する側についてはまだ詳細な調査が行われていないので、次年度は低レイノルズ数側も実験的に調査し、流れ場マッピングを更に充実させる計画である。数値計算については、燃焼ガスから固体燃料への熱伝達により燃焼面が後退するモデルを新たに組み込む計画である。
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