研究課題/領域番号 |
24246137
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
笠原 次郎 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60312435)
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研究分担者 |
松尾 亜紀子 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70276418)
船木 一幸 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (50311171)
榊田 創 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 研究グループ長 (90357088)
西岡 牧人 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 教授 (70208148)
松岡 健 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40710067)
前田 慎市 埼玉大学, 研究機構研究企画室, 助教 (60709319)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 航空宇宙工学 / 推進・エンジン / デトネーション |
研究概要 |
(1)MHz作動デトネーションエンジンの推力理論の構築:平成25年度は、レーザードップラー速度計を使用したデトネーション管による弾道振子実験を行い、理論[Kawane et al., Combust. Flame, 2011]で予測された壁面摩擦損失を検出し、理論と矛盾しない結果を得た。 (2)プラズマ理工学、可視化技術を駆使したナノ秒オーダーでのデトネーション開始に関する研究:MHz級のデトネーション開始装置を開発し、その初期圧力によって、デトネーションの伝播の安定性に差異があることを確認した。弱電離プラズマを利用した乱流促進機構に関しても、高速度カメラによる可視化により理解を深めた。 (3)10~100kHz作動自律回転バルブ型エンジンの物理機構解明:1kHz型エンジン(液体N2O、エアモーター使用)にて時間平均推力259 N、推重比 0.8、1.5 sec垂直飛行試験に成功した。地上燃焼試験では, 1.5 s作動, デトネーション成功率91%, 平均推力256 N, 比推力131 s, 推重比0.81を達成し、安定作動の支配的要因が、点火器・DDT用擾乱源にあることを明らかにした。 (4)MHz作動回転爆轟型MHzデトネーションエンジンの物理機構解明:回転爆轟型デトネーションエンジンを用いて世界初のシュリーレン光学系による可視可に成功し、計算・理論で予測されていた、インジェクターの後流構造、衝撃波構造を実験的に明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)MHz作動デトネーションエンジンの推力理論の構築に関しては、レーザードップラー速度計を用いることで、デトネーション管型の弾道振子によって、極めて高精度の力積計測法を開発し、理論の精度向上に貢献する成果をあげている。 (2)プラズマ理工学、可視化技術を駆使した ナノ秒オーダーでのデトネーション開始に関する研究も、プラズマによる乱流化の可視化研究や開始装置の開発実験で予定どおりの進捗があった。 (3)10~100kHz作動自律回転バルブ型エンジンの物理機構解明では、世界初のPDE垂直飛行試験に貢献する成果をあげた。現在、推力重力比で世界一のエンジンの開発に貢献した。 (4)MHz作動回転爆轟型MHzデトネーションエンジンの物理機構解明では、シュリーレン光学系での可視化実験成功、滑走試験装置の開発、大型エンジンの設計開発を行い、予定を超えて研究が進展している。 平成25年度の全体としての実験の進捗は順調であり、ほぼ予定の研究を実施している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)MHz作動デトネーションエンジンの推力理論の構築:平成26年度は、推力の飛行速度、飛行高度への依存性を明らかにする。また、推力の流量、気体種への依存性も明らかにする。 (2)プラズマ理工学、可視化技術を駆使したナノ秒オーダーでのデトネーション開始に関する研究:平成26年度は、主にデトネーション開始装置とエンジンの安定作動の関係を実験的に調査する。昨年度の研究で主に開始装置の充填圧力、使用気体の種類によって、作動に差異が見られるので、この点を明らかにする。安定作動の判定は、主に軸方向からの自発光の可視化観測、ロードセル推力計測、干渉型振動計によるエンジンの振動周波数計測、熱流束計測などから多面的に評価する予定。 (3)10~100kHz作動自律回転バルブ型エンジンの物理機構解明:平成26年度は、全く新しいバルブ開発をコアに研究をすすめ、自律メカニズムの確立を目指す。特にパッケージ化されたシステム構築を行い、点火系も孤立させる予定。バルブ開発は、これまで蓄積されてきた、4気筒回転バルブに関する問題点(ガスリーク、熱変形、開閉シーケンスの変化自由度)をすべて解決する方向で行う。 (4)MHz作動回転爆轟型MHzデトネーションエンジンの物理機構解明:平成26年度は、ダブルシュリーレン法を用いた内部構造の可視化を実施し、理論的に提案された物理機構が実現されているかを定量的に調査する。特に、推進剤拡散中をデトネーション波が伝播していることによる波面有限曲率の存在、逆流領域の存在など、前年度に世界初のシュリーレン撮影に成功しているが、より包括的に調査する。 (5)MHz作動バルブ共振型デトネーションエンジンの物理機構解明:平成26年度は、(3)、(4)の成果を見極めながら、物理機構の実現性について検討を行うこととし、進捗を見極めてから実施を判断する。
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