研究課題/領域番号 |
24246138
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
齋藤 芳隆 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (50300702)
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研究分担者 |
中篠 恭一 東海大学, 工学部, 准教授 (60408028)
秋田 大輔 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (30435812)
後藤 健 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (40300701)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 科学観測気球 / スーパープレッシャー気球 / 膜構造物 / 網 / 非線形有限要素法 |
研究概要 |
本研究の目的は、薄いポリエチレンフィルムに高張力繊維の網をかぶせる方法で、軽いスーパープレッシャー気球(SP気球)を具現化し、気球の長時間飛翔を可能にすることにある。このため、1. 実験室内実験、小型気球の地上膨張試験、および、数値計算による形状、製作方法の最適化、2.ゼロプレッシャー気球(ZP気球)に吊り下げた飛翔による、飛翔時の特性評価、3.小型、中型と順次大型化させたシステムの飛翔試験による実証、を行なう。将来的には、ISAS/JAXAの気球プロジェクトの一環としてPIの科学実験へ適用すると共に、大型気球の開発を進める。 本年度は、以下を行った。1. 別予算により開発した体積3,000 m3のSP気球を、体積15,000 m3のZP気球から吊り下げたタンデム気球システムとして飛翔性能試験を行った。気球が設計通りに展開することを確認すると共に、タンデム気球の高度安定性を初めて定量化をすることに成功した。しかし、耐圧性能は数100 Paにとどまっており、この原因として、気球の極部の構造に問題がある可能性が判明した。2. 上の問題を解消するため、気球の極部の構造の改良方法を検討し、対策を施した直径3mの気球を製作し、-30度の低温で破壊試験を行った。目標耐圧5,000 Paに対し、6,800 Paの耐圧性能が達成でき、改良の有効性を確認した。同型の気球を製作し、平成25年度には飛翔性能試験を実施する予定である。3. 網をかぶせた気球の数値構造解析を行い、耐圧性能を定量化すると共に展開の安定性を確認した。また、網目のアスペクト比の気球形状や耐圧性能への影響を評価した。4. 1トン程度の装置の吊り下げを可能にする気球尾部構造を設計し、試作品を製作した。5. 網の強度を改善するため、ダイニーマによる網を試作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小型SP気球の飛翔試験の結果、耐圧性能が不十分であることが判明し、その対策を行ったため。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に極部の構造を改良した直径3mのSP気球の飛翔性能試験を行い、改良の有効性を確認すると共に、気球の頭部、尾部金具の開発を行い、その有効性を地上試験を通じて確認する。平成26年度には体積5,000 m3の気球を製作し、飛翔性能試験を実施する。この結果を踏まえ、体積30,000 m3の気球の開発を行なう。
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