研究課題/領域番号 |
24246142
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
戸田 保幸 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20172166)
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研究分担者 |
松村 清重 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10135668)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | CFD / プロペラ船体干渉 / 体積力モデル / 操縦運動 / 波浪中運動 |
研究実績の概要 |
これまでは粘性流計算中で体積力分布でプロペラの影響を表現する場合、非粘性のプロペラ性能推定プログラムと併用していた。そこでは粘性流計算で得られた流速から非粘性計算で求められる誘導速度を引き算したものを、非粘性プログラムで用いられる流入速度として用いているのが現状である。これに対して本研究では体積力位置の粘性流プログラムの流速計算結果は粘性流中で計算された後流渦による誘起速度も含むため、上記の誘起される誘導速度を足し合わせた流速が得られているとしてそれにより体積力分布を決定するものである。 具体的な今年度の成果は以下の通りである。 1.一様流中で自由表面近傍での計算については十分に精度のある計算ができることを明らかにした。また船体がついたプロペラ没水深度の浅い場合について検証のためのSPIVを用いた流速分布を位相平均で計測する実験を行い、プロペラの作動がない場合は本研究で用いられている計算プログラムで十分に推定可能であることを示した。 2.2年度に引き続き、船体とプロペラの干渉の計算を行いより適したモデル化を検討した。具体的内容としてはダクトや舵に取り付けられた付加物のような省エネルギーデバイスがある場合の計算を行いプロペラモデルが推力やトルクに対して十分な精度があることを確認した。またSPIV計測によりプロペラ直前やプロペラ直後、舵後流などの複雑な領域でも十分に流速分布も推定できることが明らかになった。 3.波浪中でのプロペラ推力、トルクの計測及び波との位相平均流れ場を計測したものと本研究のプロペラモデルを埋め込んだ計算を行い十分推定可能であり、推力の分布やプロペラに作用する他方浩の力なども推定可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロペラが船体の後ろで回転している状態でもCFD計算が可能になってきている。しかし解くためには非常に短い時間間隔が必要となり、必要な計算時間は非常に大きくなるため設計に用いるのは不可能な状態である。そこで本研究の目的は船体に取り付けられたプロペラが作動している状態での性能、プロペラの回転にして準定常流れ場を求めるための体積力分布を粘性流体の数値シミュレーションプログラムの枠内だけで行う手法を開発することである。現在このモデルの開発はほぼ終了している。さらにこのモデルの適用可能性を顕彰するためプロペラと自由表面との干渉、プロペラ後流渦と舵や舵に装備された付加物との干渉、船体周辺付加物とプロペラとの干渉などを比較的短時間で現状の数値シミュレーションコードで計算可能なことを示した。このほかに波浪中で船体運動する船体の自航状態についても計算が可能となり、短波長の実験が主であるが検証データの取得も終わり、後詳細な検証を残すのみでありおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
先に述べたように順調に進展しているので、さらにプロペラと自由表面との干渉、プロペラ後流渦と舵や舵に装備された付加物との干渉、船体周辺付加物とプロペラとの干渉などを計算し、それに対する検証のための詳細なSPIV計測を行う。また波浪中の問題に対しては中波長、長波長の場合の検証データを取得し計算結果と比較し、本研究で提案しているモデルの適用可能性を調査する。また回転数を増加させての船体の加速運動や操縦運動に対して適用していくための基礎調査を行う。この科学研究費が終了した後もさらに詳細な比較を行うためトモグラフィックPIVの導入など詳細な渦構造を検討したいので、その基礎的な調査も行う。
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