研究課題/領域番号 |
24246143
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
武田 実 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 教授 (50206992)
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研究分担者 |
熊倉 浩明 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (90354307)
木吉 司 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (00354316)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 海洋工学 / 超伝導応用 / 水素 / 再生可能エネルギー / MHD |
研究概要 |
我々がこれまでに蓄積してきた超伝導技術をベースとして、海洋に無尽蔵に存在する水素エネルギーを製造・貯蔵・輸送するために、新しい応用展開を図っている。海流MHD(Magneto-Hydro-Dynamics;電磁流体力学)発電/水素発生に関する研究(テーマA)と液体水素のスロッシング(液面揺動)に関する研究(テーマB)に分けて、主に以下の研究成果を得た。 海流MHD発電/水素発生に関する研究(テーマA):新型(ヘリカル型)海流MHD発電/水素発生器では、海水が同軸電極周りを螺旋(ヘリカル)状に運動するので、比較的大きな流体損失を伴う。誘導起電力の向上には、流体損失を低減して海水流速を増加させるとともに流速分布を明らかにすることが重要である。そこで、5孔ピトー管および3D CADを用いて3D流速分布の詳細を調べるとともに、流速分布に対する整流器設置の効果を明らかにした。続いて、海流MHD発電/水素発生特性に及ぼす磁場方向/誘導電場方向の影響を調べるために、電極分割式ヘリカル型海流MHD発電機を作製し、ヘリカル流と発生起電力との関係を実験的に明らかにするとともに、起電力が誘導電場方向に依存しないことを見出した。 液体水素のスロッシングに関する研究(テーマB):舶用液体水素タンク内部のスロッシング状態を解明するために、汎用解析ソフトANSYSを用いて、小型容器および2000 Lタンクを対象としたスロッシングのシミュレーション解析を行った。解析結果と実験結果を比較したところ、両者は定性的に一致した。続いて、舶用液体水素タンク内部の温度分布変化を把握するために、液体水素用超伝導MgB2(二ホウ化マグネシウム)液面センサーを利用して、センサーの全体および各部の電気抵抗を計測することにより液面・温度同時計測を試みた。測定精度の問題は残ったが、同時計測の目処が立った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海流MHD発電/水素発生実験および液体水素のスロッシングに関する実験において、神戸大学の大学院生および連携研究者より実験補助・データ解析の協力がある。 また、超伝導MgB2(二ホウ化マグネシウム)線材の作製において、物質・材料研究機構より、全面的なバックアップがある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに行った実験的研究および計算的研究より得られた研究成果を踏まえて、主に以下の研究を推進する。 海流MHD発電/水素発生に関する研究(テーマA):電極分割式ヘリカル型海流MHD発電/水素発生器を製作し、水素ガス発生特性等を明らかにする。また、パラジウム合金等の電極を通じて水素ガスを吸蔵・採集する方法を検討するために、薄膜化した合金の水素透過特性の改善を試みる。次に、MHD水素発生器用高温超伝導マグネットを設計するために、イットリウム系線材等を対象として、線材に働くフープ力に着目したマグネットの最大磁場および磁場分布を計算する。さらに、高温超伝導マグネットを設置したMHD水素発生器のプロトタイプモデルおよび実用モデルを設計するために、発電出力に関する単純な計算モデルについて検討する。その際に、海水に働く電磁ブレーキの効果を考慮する。 液体水素のスロッシングに関する研究(テーマB):小型容器を対象として、超伝導MgB2(二ホウ化マグネシウム)液面センサーを複数用いて、液面の時間変化を計測する。高精度化のために、観測窓を通じてハイスピードカメラの画像データを同時計測する。次に、海上輸送中のスロッシング状態を解明するために、航海実験に基づく液体水素タンク内部の液面、温度、圧力、加速度の同時計測システムを構築し、得られた計測データの精度、再現性、応答性等を解析する。さらに、液体水素運搬船用の大型タンクを実現するために、数値シミュレーションを援用して、長尺液面センサーのヒーター入力値、形状等の最適化および線材化について検討する。また、長尺センサーの超伝導特性および熱伝達率等を調べる。
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