研究課題/領域番号 |
24246144
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田島 博士 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (70179688)
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研究分担者 |
鶴 大輔 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (10614620)
高崎 講二 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (30154769)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 天然ガス / 温暖化抑制 / ガスエンジン / メタンスリップ / 気体分離膜 |
研究概要 |
本研究は,熱効率と価格の優位性や低公害性を有する希薄予混合燃焼ガスエンジンに気体分離膜を利用する過給システムを組み合わせ,異常燃焼抑制による高効率化と温暖化の要因となるメタンスリップの低減を実現することを目的としている.研究の主要期間となる平成25年度には,(1) PIVによる給気流動場の詳細計測,(2) 酸素濃度分布を形成する流動場の数値予測,(3) 急速圧縮膨張装置(RCEM)における酸素濃度分布形成の検証,(4) 酸素濃度分布によるメタンスリップ低減の数値予測などを行い,下記の成果を上げている. (1)では,高速度モノクロカメラを購入して,前年度導入した高繰返しパルスレーザーと組み合わせたPIV計測を行い,副吸気弁からの給気がライナ壁面に沿うスワールを形成することを確認した.性能を重視したカメラの機種変更や圧縮温度に対応したトレーサーの再選択等の影響でやや進捗が滞っており,詳細計測を継続中である. (2)では,FIREコードでRCEMの給気流動を数値再現し,ライナ壁近傍を高酸素濃度,燃焼室中央部を低酸素濃度とする混合気分布の形成を確認したが,上死点近傍では高酸素濃度の領域が燃焼室上面に偏ってクレヴィス容積への供給が不十分となり,流入角の調整を必要とすることが判明した. (3)では,独自製作のガスサンプリング弁を用いて局所酸素濃度分布を計測し,上死点前30度で,初期酸素濃度の差が半減することを確認したが,圧縮圧9MPaに対応した弁駆動の電磁力の確保は困難なため,計測手法の再検討を実施している. (4)では,壁面近傍の未燃HCの発生に着目して独自に改良したKIVA+CHEMKIN IIコードにより,所定の条件下では,窒素酸化物は5%ほど増加するものの,メタンスリップは50%以上低減できることを予測した.低酸素濃度の主給気で燃焼速度が急減する点などは今後の検討が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に計画していた項目は研究の遂行上,重要かつ不可欠なものばかりであるが,全てを年度内に着手しており,所期の成果を上げつつある.遅延とは認識していないものの,上記の項目中には継続中ないし再検討を要するものが含まれている一方で,平成26年度の計画項目の一部を前倒しで実施していることから,全体的にはおおむね順調に進展しているものと判断している.
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今後の研究の推進方策 |
最終年となる平成26年度は複数の国際学会での成果発表を予定しており,前年度からの継続事項を進めながら,実機でのメタンスリップ低減効果の実証を優先的に進めることで,一層の研究推進を図る計画である.すでに,急速圧縮膨張装置を用いた予備的な実証実験に着手しており,再現性がやや不足しているものの,酸素濃度分布の導入によりメタンスリップに有意な低減が認められることを確認している.また,学会での成果発表時に,平成24年度に実施した給排気エネルギー平衡の予測計算の精度について質疑があり,産業界からの期待を認識したため,本年度に再度,厳密な計算を行うことを計画している.
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