研究課題
平成26年度は,気体分離膜を利用した筒内酸素濃度分布の導入によるメタンスリップ低減効果の実証とその理論構築に向けた研究項目の遂行に注力した.先ず,メタンスリップ低減については,急速圧縮膨張装置(RCEM)を用いた実験で混合気の酸素濃度が燃焼室中央部で19%,ライナ内壁周りで25%とする成層化(燃焼室平均では21%)を行い,均一混合気に比較して30 %以上のメタン排出量低減を確認した.酸素濃度25%の混合気で増加が危惧されたNOx排出量も,初期燃焼が緩慢となり,内壁周りの燃焼が膨張行程で生じるため30%以上低減しており,極めて有望な結果となった.しかしながら,現象の再現性が不十分で,計測工数も膨大なため,定容燃焼容器で補足的実験を行った.当該容器は,円筒状燃焼室の内部に高圧空気で上下する同心薄肉円筒の隔壁を有し,隔壁で内外に二分された空間に混合気を独立して供給することで理想的な成層化を実現する,独自性の高いものである.計測の結果,ライナ内壁側混合気の燃料濃度を中央側よりあえて低くすることで,メタンスリップ低減幅を平均で約45%まで拡大できることが判明した.他方,成層化を実現する吸気流の制御については,当初計画どおり時系列PIVによる筒内流動の計測を実施し,スワール分布と燃焼実験結果を照合することで,その影響を把握した.具体的には,成層化に必要な副吸気弁からの給気により,スワール強度と乱流強度が増大し,潤滑油飛沫を起点とする異常燃焼の発生が抑制される効果を認めた.また,数値予測については,軽油噴霧とガス噴流の空気導入過程のモデリングを行うため,PIVによる流速計測や高圧回流風洞内の噴霧観察などを行うとともに,予混合火炎伝ぱを高速かつ精度よく予測するために,噴霧内の液滴衝突の予測にGPUを適用した計算も試行した.以上の遂行を通じ,所期の目標を達成できたものと考えている.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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International Journal of Mechanical Engineering and Automation
巻: Volume 2, Number 2 ページ: 79-88
日本マリンエンジニアリング学会誌
巻: 第49巻6号 ページ: 125-131