研究課題
本課題では、ナノジオサイエンスの手法を用いて石油の増進回収に関わる事項の研究開発を進めて来た。昨年度までに、ディジタルオイルの概念を確立し、標準的作成法の手順を確立した。具体的には、採取された原油に対して、各種の化学分析を行い分子構造に関する情報を取得し、Quantitative Molecular Representation (QMR) 法を用い代表分子モデルを作成した。この目的は、原油の生産が進むに従って変化する貯留層の環境下での、原油のマクロな性状変化の推定と、得られた原油の物理化学的性状の貯留層シミュレーションによる利用である。本年度はさらに一歩進め、重質油に対してモデルの作成を試みた。これらの成果に関しては国際学会での発表後、論文にまとめた。さらに石油増進回収技術の一つである低濃度塩水攻法の油回収機構の解明を目的として、白雲母とオレイン酸の油-鉱物二相界面に対して、塩水の注入前後において20keVの入射 X 線エネルギーでX線CTR散乱法の測定を行い、同界面における塩水の注入に伴う吸着構造の変化を調べた。その結果、塩水注入前にはオレイン酸の吸着層の存在が示唆されたが、一方、塩水注入後にはオレイン酸の吸着が緩和されたことが解った。このデータに対して分子動力学を用いて界面近傍の電子密度分布の解析を行い、液相分子の界面近傍への集積と吸着について詳細な検討を行った。これらの成果に関してはSpring-8の報告書で発表するとともに、現在論文を作成中である。これら分子スケールで得られた原油に対する物理化学的な特性を、貯留層シミュレータに必要なマクロな特性にスケールアップするため、格子ボルツマン法を用いた検討を進めた。本年度は壁面での分子吸着によるメタンガスの滑りの速度に関して検討を行い、今までマクロな立場から提唱されていた滑り速度と良い一致を得た。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 14件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 11件) 学会発表 (32件) (うち国際学会 15件、 招待講演 4件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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