研究実績の概要 |
核融合炉の有力液体ブランケット候補材であるLi17Pb83共融合金と溶融塩Flibeあるいはそれを改良したFlinabeを対象として,熱とトリチウム同時回収を効果的に行なうシステムを明示する事が当初の本研究課題の目的であり,今年度まで引き続いて研究をし,最終年度の本年に核融合炉原型炉ブランケットシステム全体像を明示する事が最終目的である。昨年度までに各ブランケット材の流動水素同位体回収装置を大学内実験室内に製作し,溶解水素同位体濃度、液体ブランケット材流速,温度を変化させ継続して実験した。 トリチウムおよび熱を効果的に回収する条件設定のためには,ブランケット流動状態把握が必要で,ブランケットで発生したトリチウムの流動拡散抵抗の定量的把握に成功し無次元式を論文発表した。具体的トリチウム回収方法としては,LiPbの場合,気液接触法と壁透過法であり,溶融塩ではFlibe高融点の欠点とHF材料腐食性を改善するため、Redox制御したFlinebeブランケットの水素同位体透過回収の実験研究であり,世界で最初に新規溶融塩Flinabe水素同位体透過物性を測定し,関連する溶融塩であるFlibe, Fnabe, Flinakと比較しながら水素同位体透過係数,溶解度、拡散係数を測定し,各構成要素であるLiF, NaF, BeF2の寄与を調べた。 最終年度に得られた成果を、2015年9月に韓国済州島で開催された第12回ISFNT国際学会、2015年11月中国綿陽市で開催されたAPSOT国際学会、2015年6月九州大学で開催したトリチウムに関するワークショップ、イタリアで開催されたLi純化ワークショップで研究成果を発表した。最終年度であり研究成果を取りまとめ成果報告書を製作中である。
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