研究課題
これまで主に感覚神経細胞であるAFD神経細胞で確立してきたオプトジェネティクスによる神経活動の操作を、介在神経細胞であるRIA 神経細胞に適用することで、調べることが難しかった介在神経細胞の機能解明を進めた。RIA神経細胞特異的に光依存性プロトンポンプであるArchを発現させた線虫系統を作成し、温度勾配上で自由行動する線虫個体に対して光刺激を行い、神経活動と行動を計測した。神経活動計測には遺伝的にコードされたカルシウムインディケーターであるGCaMPを用い、RIA特異的にGCaMPとArchを発現させた線虫を用いた。この線虫は光刺激がない場合は確率的な神経活動を示し、黄色光刺激によりその活動が抑制された。RIA介在神経細胞の活動制御とその計測は世界で初めて実現することができ、Archによる神経活動の抑制が光刺激により速やかに実現できることが確認された。この線虫系統を用いて、自由行動下で黄色光刺激によるRIA特異的な神経活動の抑制を行い、行動の変化を定量的に計測、解析した。当初の予想と異なり、RIAの長時間の抑制は温度勾配上で培養温度へと移動する温度走性行動は抑制せず、常に光刺激のある条件でも一時間後に培養温度へと移動した。そこで、より細かな行動の変化を捕らえるため、短時間の光刺激に対する、方向転換や体の屈折制御などの細かい行動を解析した。神経活動と行動の同時計測を実施すると、黄色光刺激により神経活動が低下することと、それに伴い首の屈折に偏りがあることが示唆された。首部分の微妙な制御による方向の決定は、移動する際に決定的な影響があるため、この微妙な制御にRIA介在神経が関わることで、温度走性を含む探索・意思決定を制御していることが予想される。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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