研究課題/領域番号 |
24247003
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
甲山 隆司 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 教授 (60178233)
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研究分担者 |
鈴木 牧 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (40396817)
隅田 明洋 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (50293551)
高田 壮則 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 教授 (80206755)
久保 拓弥 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 助教 (80344498)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 植物群集 / 共存 / 安定性 / 競争方程式 / トレードオフ |
研究概要 |
1.数理モデル解析:平衡状態において葉群の鉛直分布構造に違いのある種間の競争モデルを、鉛直的に2層ないし3層構造がある場合について解析した結果をまとめて、「葉群分割仮説」を初めて論文発表した(Kohyama and Takada 2012)。発表論文の議論のなかで、本課題の興味である葉群分割仮説と透過率分化仮説を対比的に論じた。 2.亜高山帯アカエゾマツートドマツ混交林調査:9月上旬に雄阿寒岳山麓の1ヘクタール調査区の再測定(8年後、2回目)を、中旬に遠音別岳原生地域の1/4ヘクタール調査区×4の再測定(前回から6年目、6回目)を実施した。雄阿寒プロットでは、樹冠の鉛直構造のライダー観測の試行も行った。 3.大規模調査区のデータ解析:熱帯林(マレーシア、Pasoh)と亜熱帯林(台湾、Fushan)の永久調査区データを用いて、樹木種の生長と死亡の樹木サイズ依存性をベイズモデルにより解析し、「葉群分割仮説」の必要条件である、樹種のサイズ分布がデモグラフィーと結びついているかについて解析を始めた。 4.海外との共同研究:飯田佳子(博士研究員*)をMichigan州立大のNathan Swenson博士の研究室に派遣し、世界各地の森林調査区の動態と生理・形態形質のメタ解析を共同で進めた。鈴木牧は、ポーランドのクラコフ農業大学森林学科のJerzy Szwagrzyk研究室を訪問し,同研究室の主要な動態研究サイトであるニエポウォミツエ州立公園(Puszcza Niepolomicka)森林保護区,カルパチア山地Babia Goraの針広混交林,亜高山帯林,ブナ林調査地を視察,セミナーと共同研究の計画の打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論解析に関しては、年次計画で計画していた葉群分割仮説をまとめて発表することができた。また、針葉樹の樹高ー幹直径の生長推移について整理を加えた。 森林のフィールド調査では、北海道東部亜高山帯の針葉樹2種優占混交林について、再測定を実施することができた。レーザー距離計による林冠・樹冠解析では、当初予定の苫小牧研究林でなく、雄阿寒岳亜高山帯林で予備調査を実施して、翌年度以降の本調査に備えた。 マレーシア熱帯多雨林や台湾亜熱帯多雨林のプロットデータのデモグラフィー解析を海外協力研究者と進めて、学会発表を行った。 北中米や東欧の協力研究者と密な打合せを行い、本課題に関連する共同データ解析を実施していく基盤を構築できた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に添ってほぼ順調に研究が進んでいる。加えて、海外の森林調査データを用いた共同解析も積極的に進めていく体制が整ってきたので、こうした研究計画の発展にも心がけていく。 2013年度は国際生態学会議INTECOL 2013がロンドンで開催される。この機会に本課題の予測する両仮説の並行検証について発表し、海外の研究者と議論を深める。
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