1. ショウジョウバエの生殖細胞系列においてSxlの下流に位置する候補遺伝子の機能解析 ショウジョウバエの生殖系列において、Sxlと呼ばれるRNA結合タンパク質が、細胞自律的に働きメス化を誘導することを明らかにした。生殖細胞系列においてSxl/GFP融合タンパク質に結合する候補RNAをコードする遺伝子として、Su(var)2-10とNHP2を同定している。本年度は、これら機能解析を行い、胚発生過程の生殖系列においてSu(var)2-10をノックダウンしたときのみ、Sxlの機能阻害と同様の卵巣中の生殖系列の腫瘍化(オス化の指標)の表現型を生じることが明らかとなった。今後は、Su(var)2-10が有するSxl結合配列の役割などを明らかにする予定である。さらに、NHP2は、メス生殖幹細胞で活性化しており、この活性が低下することで4-cell cystへと移行し、再び活性が上昇することで16-cell cystへと分化が進行することを示唆する結果が得られた。Su(var)2-10は rRNAの塩基修飾に関わることから、rRNA生合成活性の変化が卵形成の進行に重要な役割を持つことが示唆される。 2. ヒドラの生殖幹細胞の雌雄差を特徴づける遺伝子の同定 ヒドラ個体からセルソーターを用いて、多能性幹細胞、雌および雄生殖幹細胞を単離し、次世代シーケンサーでトランスクリプトームを得ることに成功した。現在、アッセンブリー及びゲノムへマッピングが終了し、これらサンプル間で、差次的な発現をする遺伝子の同定を行っている。今後、オルソログ検索により、ショウジョウバエとの共通性を明らかにする予定である。
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