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2012 年度 実績報告書

神経軸索再生を制御するシグナル伝達機構

研究課題

研究課題/領域番号 24247025
研究機関名古屋大学

研究代表者

松本 邦弘  名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70116375)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード遺伝学 / 再生医学 / シグナル伝達 / 神経科学 / 脳・神経
研究概要

平成24年度は、神経軸索再生機構を制御する因子のうち、SVH-3が代謝する神経伝達物質アナンダミド(AEA)が、三量体Gタンパク質であるGOA-1を介してどのようにJNKカスケードを抑制するか、その分子メカニズムについて解析した。解析の結果、AEAはGOA-1を介して、EGL-30(Gqα)-EGL-8(PLCβ)-TPA-1(PKC)からなるPKC経路を阻害することにより軸索再生を負に制御することを見出した。また、遺伝学的解析から、このカスケードがJNKカスケードのMAPKKKであるMLK-1の上流で機能することも示唆された。さらに、TPA-1はJNK経路のMAPKKKであるMLK-1のactivation loopのセリン355をリン酸化することにより、これを活性化することも生化学的および遺伝学的手法により示された。以上のことから、アナンダミドによるJNK MAPK経路および神経軸索再生の抑制機構の詳細が明らかになった。また、今年度はSVH-4遺伝子についても解析を行った。SVH-4は転写因子をコードしており、その欠損変異体では他のJNKカスケードの因子と同様に軸索再生率が低下する。そこでsvh-4と他の既知のJNKカスケード上の因子との遺伝学的な関係について調べたところ、SVH-4は増殖因子であるSVH-1と増殖因子受容体であるSVH-2の間で機能することが示唆された。svh-2は神経軸索切断により発現が誘導されることから、その発現誘導への関与について調べたところ、svh-4欠損変異体では軸索切断によるsvh-2の発現誘導が起きなくなっていた。このことから、SVH-4はSVH-2の神経軸索切断による発現誘導に必須な因子として機能すると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初計画では、平成24年度は、
(1) 神経軸索再生を正に制御するSVH-1/2経路で機能する因子の解析
(2) 神経軸索再生を負に制御する因子の解析
(3) 線虫の神経軸索再生を制御するシグナル因子の機能解析
(4) EGF受容体/LRRK輸送システムによる神経軸索再生制御機構の解析
を行う予定であった。そのうち、(1)と(3)は転写因子をコードするsvh-4遺伝子が、実はsvh-2遺伝子の上流で機能する因子であったことで、2つのサブテーマが結果的に一つに繋がるような発展的成果を得ることができた。さらに、SVH-4が神経軸索切断によるsvh-2遺伝子の発現誘導に必要な転写因子であることを明らかにした。(2)については、神経軸索を負に制御するSVH-3およびGOA-1経路が、どのようにJNK MAPK経路を抑制するのか探索し、この経路がPKC経路によるJNK MAPK経路の活性化を抑制していることを明らかにできた。これらの進捗状況を見る限り、当初の予想以上に進展していると思われる。

今後の研究の推進方策

(1)神経軸索切断がSVH-4依存的にsvh-2の転写を誘導する機構の解析
平成24年度までの解析から、転写因子であるSVH-4が神経軸索切断によって誘導されるsvh-2遺伝子の発現に必要であることがわかった。しかし、神経軸索の切断が、どのようにSVH-4依存的なsvh-2発現誘導を行うのか、そのメカニズムについてはは不明である。そこで、それについて探索する。
(2)他のSVH因子の解析
我々は、神経軸索再生を制御する因子の候補として、10個のsvh遺伝子を同定している。そのうち、svh-5からsvh -10までの6個の遺伝子につい、神経軸索再生における機能と役割を解析する。
(3)神経軸索再生を負に制御する因子の解析
平成24年度までの解析から、SVH-3によるJNK MAPK経路の抑制機構について明らかにした。そこで、SVH-3により分解されるAEAの合成過程が、どのように神経軸索再生に関与しているのか、解析する。さらに、神経軸索再生を抑制する他の因子について、解析を進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The growth factor SVH-1 regulates axon regeneration in C. elegans via the JNK MAPK cascade.2012

    • 著者名/発表者名
      Li, C.
    • 雑誌名

      Nature Neurosci.

      巻: 15 ページ: 551-557

    • DOI

      DOI:10.1038/nn.3052

    • 査読あり
  • [学会発表] Regulation of axon regeneration by two distinct receptor-type tyrosine kinases2012

    • 著者名/発表者名
      永盛友樹
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      マリンメッセ福岡(福岡県)
    • 年月日
      20121211-20121214

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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