研究課題
平成25年度はimportin αと脳機能の関連を明らかにするため、importin αのノックインES細胞を樹立し、神経細胞特異的にimportin α高発現の誘導が可能なノックインマウスを作成することに成功した。さらに、importin α5ノックアウト雌マウスで異常を示す、エストロゲンシグナル伝達に必須であるエストロゲン受容体の核―細胞質間シャトリング機構を解析した結果、核外への輸送はこれまでに報告されていた輸送因子CRM1ではなく、Transportinによって行われていることが分かった。加えて、Hsp90がエストロゲン受容体の核外輸送に関与していることが明らかになった。さらにimportin α1によるES細胞未分化維持機構を明らかにする目的で、ES細胞に存在するimportin α1結合因子のスクリーニングを行った。その結果、約200種類のimportin α1結合タンパク質を同定することが出来た。また、importin α8に結合する因子として、HEK細胞抽出液中に存在する472種類のタンパク質を同定することができた。同時に、ファミリー内で相同性の高い配列を持つimportin α1の結合因子群について、同細胞抽出液を用いて、431種類のタンパク質を同定した。この両者を比較解析した結果、120種類ものタンパク質がimportin α8特異的な結合を示すことが分かった。
2: おおむね順調に進展している
プロテオミクス手法を用いて核輸送因子importin α1、importin α8の結合因子を多数、同定することが出来た。また核輸送因子importin αと脳機能との関連を明らかにするためのツールとして、神経細胞特異的にimportin-alphaの発現を誘導できるノックインマウスを作成することが出来た。さらにエストロゲン受容体のリガンド依存的な核外輸送メカニズムを明らかにすることが出来た。
平成25年度中に明らかとなった結合因子、あるいは作成したマウスを使用して平成26年度はそれぞれの研究を最終段階へと展開して行く予定である。具体的には、importin α1によるES細胞未分化維持機構、importin α8と卵母細胞との関わり、脳機能におけるimportin αの重要性、importin αと細胞老化の関連などを明らかにし、高等真核生物の高次機能と核輸送制御の関係を明らかにする。
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