研究課題
本年度は以下のA)およびB)の項目について検討を行った。A) 高次生命機能におけるペルオキシソームの役割とその異常による障害メカニズム薬剤誘導型のコンディショナルPEX2遺伝子ノックアウトマウスに関して、薬剤によるノックアウト後ではペルオキシソームによる脂質代謝に障害が生じることを生化学的に示し、かつマウス行動実験では記憶障害を呈することも見出した。つまり、中枢神経系の発達のみならず、その恒常性維持においてもペルオキシソーム代謝機能の重要性が示唆された。また、ペルオキシソーム欠損症モデルマウスにおいて、ペルオキシソーム機能欠損グリオーマ細胞において見出した神経成長因子の分泌異常のみならずその受容体の発現異常が、脳形態異常が観察される領域で認められた。さらに、その分泌因子シグナル伝達系下流の活性化状態の異常も認められたことから、そのシグナル伝達系異常が脳形態異常を導くことが示唆された(J. Clin. Invest.投稿改定中)。また、ペルオキシソーム欠損マウス脳において、ミクログリアの活性化や免疫系因子の発現上昇など神経炎症の惹起や、抗炎症作用を有する脂質メディエーターの減少も見出された。B) ペルオキシソームにおける代謝機能調節とその障害プラスマローゲン生合成制御に関し、細胞膜の内葉(inner leaflet)に存在するプラスマローゲンがセンシングされることをエンドサイトーシスの阻害やプラスマローゲンの偏在性を担うと推察されるフリッパーゼの機能阻害により明らかにした。従って、プラスマローゲンの生合成は、細胞膜内葉のプラスマローゲン量の情報に基づいたペルオキシソーム局在性Far1の分解を調節する高度な時空間的制御機構により調節されることを見出した。一方、LC-MS/MSを用いたメタボローム解析系に関して、組織中における脂質メディエーターの検出手法を新たに確立した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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