研究課題/領域番号 |
24248007
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田尾 龍太郎 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10211997)
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研究分担者 |
羽生 剛 愛媛大学, 農学部, 助教 (60335304)
山根 久代 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (80335306)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 果樹 / 受粉受精 / 園芸ゲノム科学 / 遺伝子解析技術 / 組換え遺伝子 / オウトウ / ウメ / 倍数性 |
研究概要 |
バラ科サクラ属果樹の多くは配偶体型自家不和合性を示し,栽培や育種を行う上で大きな障壁となっている.本研究は,我々が長年にわたって続けてきた,サクラ属の示すS-RNase依存性配偶体型自家不和合性に関する研究をさらに発展させるために立案されたものであり,これまでに我々が得た研究結果および他のグループが論文等で発表してきた結果に基づいて構築した自家不和合性認識反応の作業仮説を検証する形で研究を進め,サクラ属に特異な自己非自己認識の分子機構の全体像を明らかにしようとして研究を進めている.研究初年度の本年は以下の研究を行った. ① 次世代シークエンス技術を活用して,不和合あるいは和合受粉,ならびに無受粉の雌ずいのmRNAseq解析を行った.また発芽花粉および発芽前の乾燥花粉のmRNAseq解析もあわせて行った.これらの結果をとりまとめて,SLFLsとSFBの進化遺伝学的関係を明らかにするとともに,不和合・和合反応時の雌ずい内の生理学的変化を明確にしつつある. ② 免疫沈降法や酵母ツーハイブリッド法によって,SLFLsとS-RNaseの相互作用は確認出来た.しかしながら,いずれに方法によっても,これまでSFBとS-RNaseの相互作用を検出するには至っていない. ③ SFBならびにSLFLsのSCF複合体形成能を免疫沈降法により確認することに成功した. ④ ナス科植物およびリンゴやセイヨウナシにおいて,サクラ属のSFBやSLFLsを花粉発現させるためのベクターを構築し,形質転換実験を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目標であるバラ科サクラ属の自家不和合性認識機構の解明には至っていないが,自家不和合性認識反応の作業仮説を検証する形で研究が順調に進んでいるので,おおむね順調に研究が進んでいると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
バラ科サクラ属の自家不和合性認識機構の解明にあたり,サクラ属植物の形質転換が困難なことがネックとなっている.このため早急に安定した形質転換系を開発する必要があると考えられる.そこで様々な形質転換法を用いて,安定した形質転換系の確立を目指す予定にしている. また花粉側因子であるSFBと雌ずい側因子のS-RNaseは何らかの形で相互作用するはずであるが,未だその相互作用が検出できていないので,実験手法を検討していく予定である.
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