研究課題
1.分子機構解析研究孵化後4-5か月目のアムールチョウザメ形態的未分化生殖腺の次世代シーケンス解析により、amh、soxファミリー遺伝子など46個の性分化関連遺伝子の部分配列が得られた。そのうち将来雌雄間に発現差がみられたのはrspo1、wntファミリー遺伝子など14個であった。また、多数の将来雌特異的発現遺伝子の部分配列が得られ、そのうち189個が既知遺伝子と相同性を示し、うち25個が転写因子、16個が細胞増殖関連遺伝子であった。これらは形態的卵巣分化を誘導する遺伝子群と推察された。アムールチョウザメ肝臓から新規ビテロゲニン(Vtg)cDNAクローニングに成功した。これにより、アムールチョウザメには少なくとも4種のVtgが存在することが明らかになった。2.生殖統御技術開発研究ベステル卵濾胞の排卵能および排卵能関連遺伝子発現の周年変化を比較した結果、コラゲナーゼであるmmp9およびPG産生酵素であるptgs2では、卵濾胞が排卵能を獲得した月に発現が急増したことから、両遺伝子発現を指標とした採卵適期推定法を確立できることが示された。チョウザメ類では染色体倍数性変異によりゲノムサイズが異なるグループが存在している。親魚のゲノムサイズが異なる雑種ベストラ(ベステルxシロチョウザメ)二倍体と三倍体の生殖腺を組織学的に比較した結果、三倍体では雄の出現率が非常に低いのに加え、雌雄不明個体が多くみられた。雌では、二倍体では周辺仁期まで発達した卵母細胞はほとんどみられなかったのに対し、三倍体では周辺仁期まで発達した卵母細胞を有していた。また、二倍体では性比ほぼ1 : 1であったのに対し、三倍体では雌に偏る傾向がみられた。可視化したチョウザメ始原生殖細胞(PGC)の分離方法を検討した結果、尾芽胚の植物半球に細胞移植針を挿入し吸引することで、植物極の割球を採取できた。しかし、PGCsが分布する尾芽周辺から移植針の挿入による割球採取は困難であった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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水産増殖
巻: 64 ページ: 63-76