研究課題/領域番号 |
24248043
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大政 謙次 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (70109908)
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研究分担者 |
清水 庸 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (00323486)
細井 文樹 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (80526468)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | リモートセンシング / 画像計測 / 植物 / 蒸発散 / 光合成 / クロロフィル蛍光 / 環境影響 / 情報工学 |
研究概要 |
人工衛星ランドサットの摩周湖周辺の可視・近赤外バンドと熱赤外の画像データを用いて、蒸発散指標iTVDIについて検討した。蒸発散指標iTVDIは、正規化植生指数(NDVI) と地表面温度Tsから気温Taを引いた指標(Ts-Ta)の特徴空間上の値として定義した。その際、NDVIとTsはランドサットデータから求め、また、Taはアメダスデータを標高補正した値を用いた。14種類の植生タイプ毎に、NDVIとiTVDIを比較したところ、低木や草地では、NDVIが小さく、iTVDIが大きかった。また、高木ではその逆の結果になったが、ダケカンバだけは、NDVI、iTVDI共に、大きい値を示した。iTVDIは、土壌含水量と相関が高く、植生では蒸発散速度が大きいほど小さい値を示す傾向がある。一般に、大きいNDVIを示す植生は葉面積密度が大きく、最大蒸散速度も大きくなる傾向がある。しかし、ダケカンバはNDVIが他の高木と同じように大きかったにもかかわらず、iTVDIが相対的に大きな値を示した。このことは、ダケカンバの蒸散速度が少なくなっていることを示唆している。 一方、フラウンホーファー線による太陽光クロロフィル蛍光の解析評価法の開発と検証に関しては、新たに購入した高波長分解能分光システムを用いて、O2AやO2Bなどのフラウンホーファー線の分光解析を行い、クロロフィル蛍光成分が抽出できることを確認した。また、光合成反応の指標といわれている光化学反射指標(PRI)について、メロンの生育ステージの違いによるPRIとクロロフィル蛍光パラメータ、植物色素含有量との関係を調べたところ、光合成反応に関係する光化学的及び非光化学的クエンチングのPRIへの影響は最大見積もっても20%以下で、植物色素、特に、クロロフィル含有量の影響が大きかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地表面温度画像を用いた蒸発散指標の開発と検証に関しては、標高などによる気温差を補正したiTVDIについて、土壌水分含水量との関係や植生タイプの違いによる値の違いを検証し、蒸発散指標として有効で有り、実際に、山岳地での被害報告などが報告されているダケカンバの衰退を示唆する結果を得たことにより、一方、フラウンホーファー線による太陽光クロロフィル蛍光の解析評価法の開発と検証に関しては、O2AやO2Bなどのフラウンホーファー線の分光解析により、クロロフィル蛍光成分が抽出できること、また、光合成反応の指標といわれている光化学反射指標(PRI)について、植物色素含有量変化の問題を指摘したことなどにより、概ね順調に進展してると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、蒸発散指標iTVDIについて、地域や環境、植生タイプの違いによる影響解析を継続し、改良を加える。また、フラウンホーファー線による太陽光クロロフィル蛍光の解析に関しては、画像情報を得る手法の開発や蛍光パラメータ解析などを引き続き行っていく予定である。
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