前年度のプロトタイプ端末の評価試験を受けて実用型(普及型)センサ端末の試作を行った。演算処理回路・信号処理回路が搭載されたメイン基板サイズとアンテナ基板サイズを、それぞれ12mm×33mmと7mm × 33mmとして試作した。電源には、リチウム塩化チオニル電池(サイズ:14.55mm×25.15mm,電池容量:1200mAh)を使用することにより、ルーメン内留置型センサ端末の全体のサイズは、23mm×70mmとできた。また、端末の理論寿命が3年以上となるよう、無線送信頻度を60秒に1回(無線給電電力:10dBm、送信方法:5秒に1回のルーメン運動のデータおよび1分に1回の温度、pHのデータの一括送信)と設定した。ルーメン内の端末と受信機との受信性能評価試験において、無線給電電力10dbm、アンテナからの出力2.9dBm時、アンテナでの受信強度は16dB以上を確保でき、実用的な受信率(95%以上)を得ることが可能である。 開発したセンサ端末をルーメン内に留置して得られた加速度データ(ルーメン内流動性変化)と、Force Transducer(FT)法(外科手術で電極をルーメン漿膜面に縫着して収縮運動を導出する観血的測定法)による測定データとの比較を複数頭数で実施した。その解析結果より、加速度データとFT法で得られるルーメン収縮頻度の相関は高いことが判明した。また、ルーメン運動の収縮頻度が最も高いのは採食時で、反芻、休息の順に低くなることなど、ルーメン内容物の流動性解析によるルーメン運動評価技術の確立、およびルーメン機能監視システムの開発のための知見を得ることができた。また牛のルーメン内での長期試験では、4ヶ月以降では外装の破損が生じており、外装の材質に必要な条件、耐酸性、許容耐荷重などを明らかにした。
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