研究課題
筋細胞と脂肪細胞の細胞間コミュニケーション機構について、筋管が脂肪細胞の脂肪滴のサイズを抑制するメカニズムを検討した。筋管はミオスタチンを分泌しており、筋管の培養上清で脂肪細胞を培養すると脂肪細胞中の大きな脂肪滴の割合が通常の培養液で培養した脂肪細胞に比べて有意に少なくなること、さらに、これらの効果はミオスタチン抗体あるいはフォリスタチンの添加で抑制されることを見出した。また、筋管と共培養した脂肪細胞におけるC/EBPb,C/EBPa, PPARg,アディポネクチンならびにペリリピン1のmRNA発現量は単独培養の脂肪細胞のそれらの発現量に比べて低く、脂肪細胞の分化・成熟が筋管によって抑制されていることが示唆された。マウスとラットのグリセロール注入後の筋再生を比較検討した結果、マウスの筋中にグリセロールを注入すると、注入後すぐに脂肪組織に一時期置換されるが、ラットでは脂肪組織形成を経ずに瘢痕化する。このとき、マウスおよびラットのグリセロール注入筋組織を観察すると、ラットの注入部位ではTGF-b1が分布していたことから、このTGF-b1が、脂肪分化を抑制し筋組織の線維化(瘢痕化)誘導する主因子であると考えられた。分化初期の筋衛星細胞が分泌する神経軸索ガイダンス因子Sema3Aによる運動神経末端の再接着制御機構について、アセチルコリン受容体(nAChR)の挙動に焦点を当てて追究した。筋芽細胞が分化・融合しできる筋管においてnAChRの機能的凝集化(クラスラリング)は神経接着に必須であるが、この現象がSema3Aのノックダウンによって阻害されることも明らかになった。また、Sema3Aのシグナリン軸を構成する筋特異的転写制御因子myogeninを同様にノックダウンしてもnAChRのクラスラリングは正常に進行することから、myogenin非依存的な細胞内シグナリングによってnAChRクラスラリングが制御されていると考えられた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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