研究課題/領域番号 |
24248047
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研究機関 | 独立行政法人家畜改良センター |
研究代表者 |
佐藤 英明 独立行政法人家畜改良センター, その他部局等, その他 (80093243)
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研究分担者 |
星野 由美 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10451551)
種村 健太郎 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20332322)
橋谷田 豊 独立行政法人家畜改良センター, その他部局等, その他 (50462536)
山之内 忠幸 独立行政法人家畜改良センター, その他部局等, 研究員 (30713581)
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研究期間 (年度) |
2012-10-31 – 2016-03-31
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キーワード | OPU-IVP / FSH / 体内成熟卵 / 体外成熟(IVM) / 抗酸化作用 / オートファジー / LC3 / コネキシン43 |
研究概要 |
1)主席卵胞を含めた発育中の卵胞の制御により、発育が同調された健常な顆粒膜細胞を備えた小卵胞群へのFSHの投与が、多数発育させた卵胞へのOPU-IVPに及ぼす影響について検証した。黒毛和種およびブラウンスイス種の2品種について卵胞発育同調後にFSHを投与し、発育した卵胞より体内成熟卵子をOPUにより採取し、体外受精後の胚の生産性とその品質として酸素消費量について調べた。FSHの投与により黒毛和種およびブラウンスイス種ともに胚生産効率が改善できた。品種間で比べたところ、胚発生率および胚の酸素消費量には違いはなかったが、初期発生における第一卵割時間が黒毛和種に対してブラウンスイス種において2時間程度遅くなった。 2)卵巣内における卵子の生存性や成熟能力を高めるために、卵巣および卵子のオートファジーに着目し、その作用を検証するとともに役割について解析し、以下の成果を得た。1)ブタの卵巣および卵子内において、オートファジーのマーカーである、LC3のタンパク質が発現していることを明らかにした。体外成熟培養(in vitro maturation: IVM)により卵子内におけるLC3の発現量変化を調べみると、卵成熟開始後に一時的に高くなるものの、成熟卵子ではその発現量は低下することを確認した。オートファジーが機能するメカニズムをmTORおよびAMPK経路に着目して解析したところ、卵子内では、TORよりもAMPK経路を介して活性化していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)黒毛和種およびブラウンスイス種の2品種のウシにおいて、卵胞発育同調後に外因性FSHを投与し採取した体内成熟卵子から効率的に胚生産ができることを証明した。また、品種間の比較において、胚発生率および酸素消費量に違いはなかったが、初期発生におけるスピードに違いがあることを確認した。 2)卵胞発育過程におけるオートファジーに着目し、関連因子の発現とその作用機序を明らかにした。卵巣内卵子においてオートファジーが機能することを明らかにした点は本研究の今後の展開において意義あるものと言える。 3)研究成果をとりまとめた論文が受理されるとともに、審査中の論文を含めて順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1)黒毛和種およびブラウンスイス種以外の異なるウシ品種について、主席卵胞を含めた発育中の卵胞を制御することにより、発育が同調された健常な顆粒膜細胞のみを備えた小卵胞群に対して外因性FSHの投与により多数の発育した卵胞によりOPU-IVPにおいてその効果を検証する。 2)これまでに明らかにしたmTORを介するメカニズムを一つの候補としながら、排卵前卵子における紡錘体の形成や染色体の分配に関わるメカニズムの解析を進める。また、卵丘細胞に着目して、卵胞刺激ホルモン(FSH)によって誘導されるヒアルロン酸合成酵素(has)因子の調節メカニズムの解析を進めていく。 3)現在まで、主に卵母細胞の体外成熟(IVM)系の高度化に焦点を合わせているが、得られた知見を活かして、体外受精(IVF)系および体外培養(IVC)系の高度化への貢献が可能か検討したい。
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