研究課題
1.レクチンによる糖タンパク質の細胞内選別輸送システム3本鎖高マンノース型糖鎖の中央の枝の末端マンノース残基の除去は分解経路に向かう第一歩となる一方、別の枝の一端には小胞体シャペロンの認識タグとなるグルコース残基が提示される。平成26年度は、細胞レベルでの糖鎖プロファイリングの結果に基づいてマンノース切除における一連のマンノシダーゼの役割分担を明らかにするとともに、立体構造未完成の糖タンパク質の糖鎖末端にグルコース残基を転移する酵素UGGTの基質認識ドメインの一部に関して3次元構造情報を得ることに初めて成功した。また、前年度までに得られた知見に基づき、糖タンパク質を小胞体から搬出するカーゴ受容体ERGIC53-MCFD2複合体と血液凝固因子の結合モチーフに関して、NMRやカロリメトリーによる解析を実施し、基質認識の構造基盤に関する情報を収集した。さらに、高マンノース型糖鎖が特定の糖残基の除去に伴ってコンフォメーション空間を有意に広げる様子や、レクチンによる分子認識に際して多様な構造アンサンブルの中の特定のコンフォマーが選ばれる様子を明らかにすることができた。2.免疫系における糖タンパク質分子間相互作用システムヒトIgG1のFc領域についてNMRシグナルの帰属を行い、溶液中における高次構造情報を容易に取得することを可能とした。さらに、トランスジェニックタバコやカイコを用いて安定同位体標識を施したIgGを発現させ、それらの構造の差異を調べた。その結果、異なる生産基材を用いて調製したIgG-Fcは、糖鎖付近の立体構造に影響を受けるものの、それ以外のほとんどの部位について、高次構造が保持されていることを明らかにした。また、抗体依存性細胞障害活性に関わる、Fcγ受容体上に発現している糖鎖の構造に関するデータも取得することができた。これらの成果は、抗体医薬品開発において重要な知見をもたらすものと期待される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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