研究課題
レティキュロンファミリータンパクであるNogoや膜タンパクであるMHC-Iなど多様な免疫系の情報をPirBがいかに集約させているのかを解析し,またNogoの免疫系における役割を解析することで疾患制御に結びつく成果を目指した。A)実際に免疫系にもNogoが発現することを突き止めた。さらにT細胞やB細胞よりもマクロファージでの発現が顕著であった。Nogoの細胞内局在は圧倒的に小胞体に集中しており,細胞膜上にそのほとんどが発現しているPirBとは異なるものであった。したがってNogoがPirBを介さずに自然免疫応答を制御するか否かにその解析の主眼を移し,主に核酸認識系のTLR受容体の制御におけるNogoの役割を検討した。その結果,Nogoは小胞体においてTLR9がエンドリソソームに移行する輸送経路において何らかの調節を行うことでTLR9応答を支援していることが分かった。Nogoが欠損するとTLR9応答は顕著に低下した。B)次にNogoに小胞体において会合するタンパク質分子を網羅的に探索した結果,いくつかの候補分子がピックアップされたが,その中でも機能が未知なGRAMD4が明確にNogoと会合しており,TLR9の経路を複合体として制御していることが見出された。これらの成果はTLR9経路の制御について新しい分子と知見を提供しており,最近論文発表も完了し,自然免疫応答の理解に貢献することができた。C)ヒト免疫系でのPirB(ヒトではLILRBと呼ばれる)制御の解析により治療への展開に途を拓く目的で,ヒト末梢血B細胞上に発現するLILRBのプロファイルを解析した。その結果,新たなB細胞サブセットとして注目されたCD43+B細胞はLILRBや転写因子の発現パターンから,メモリーB細胞とプラズマブラストの中間に位置づけられる細胞集団であることを解明し,論文発表した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
BMC Immunol.
巻: in press ページ: -
J. Immunol.
Int Immunol.
巻: pii ページ: dxv009
Nat Commun
Glia
巻: 6 ページ: 6119
BMC Immunol
巻: 15 ページ: 47
10.1186/s12865-014-0047-y
J Immunol.
巻: 193(2) ページ: 635-644
10.4049/jimmunol.1302772.
巻: 5 ページ: 3755
10.1038/ncomms4755.
Kidney Int.
巻: 86(6) ページ: 1174-1186
10.1038/ki.2014.205.