研究課題
生殖細胞特異的な小分子RNAであるpiRNAの生合成には、たくさんの種類のタンパクが関与していることが知られている。ミトコンドリア膜上の脂質代謝酵素であるGPAT2(Glycerol-3-Phosphate Acyltransferase 2)もその一つである。piRNA合成は primary processing と secondary processing に分けられるが、これまでの培養細胞を用いた研究から、GPAT2はprimary processing に必須なタンパクであること、また、その酵素活性は piRNAの生合成に不要であること、がわかっていた。そこで、GPAT2のマウス生体内でのGPAT2の機能を明らかにするするため、GPAT2欠損マウスの作成をおこない、その解析をおこなった。その結果、GPAT2を欠損する雄性マウスでは、piRNAの産生が著しく低下すること、また、その結果として、レトロトランスポゾンのDNAメチル化が不十分であること、さらに、精子形成がおこなわれず不妊になること、が明らかになった。また、これまでに知られているpiRNAの産生異常があるマウスにおける精子形成とは異なって、より早い段階である出生後すぐにおいて雄性生殖細胞がアポトーシスで死滅することが明らかになりつつある。これらの成果から、GPAT2が、in vitroで示されたように生体内においても piRNAの生合成およびそれに依存したレトロトランスポゾンのDNAメチル化に必須であることだけでなく、他の分子機構も有していることが明らかになった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Current Biol
巻: 25 ページ: 901-906
10.1016/j.cub.2015.01.060
Cell Rep
巻: 12 ページ: 1541-1547
10.1016/j.celrep.2015.07.060