研究課題
1.BK-SE36 マラリアワクチンを接種したウガンダ人において接種後のマラリア自然感染によるブースト効果を統計学的に解析した。これまでの解析結果から、BK-SE36ワクチン接種による抗体価上昇群においては、抗体価が200ユニットを超えればその後1年間は感染防御が成立することが示唆され、一方、それ以下であってもワクチン接種により抗体価が2倍以上に上昇すれば、マラリア感染により免疫のブースト効果が必ず見られ、それ以降の感染が防御されることが示された。2.標的エピトープの解析では、ワクチン接種による抗体価上昇群と自然に抗体価の高い非応答群で抗体エピトープの違いを解析した。その結果、両者の認識エピトープは明瞭に異なることが明らかとなった。前者はSE36タンパク質のセリンリピートの両端部分に強く反応し、後者はN-末端に位置する8mer リピートとセリンリッチ領域に反応する。これらの解析結果はPloS One 2014, Yagi et alに発表した。3.自然免疫アジュバントを加えた第二世代SE36マラリアワクチンの免疫応答解析:平成25年より開始した国内における第I相臨床試験において高用量ステージ2を実施した。その結果、BK-SE36/CpGの安全性が示されたとともに、CpG添加により誘導抗体価が4-5倍上昇することが示された。4.ブルキナファソにおけるBK-SE36 マラリアワクチン第 I 相臨床試験(1-5 歳)を含む高次の臨床試験の準備作業を行い、平成27年5月に開始する目処をつけた。
2: おおむね順調に進展している
上記の研究実績でも明らかなように、当初の実施計画の90%以上が順調にすすみ、好結果を得ている。
今後は次の2点について明瞭な結果を得るべく研究を推進する。まず、1)平成27年に開始予定のブルキナファソにおける1-5歳児を対象とした臨床試験において、SE36タンパク質が単一のワクチン抗原として実質的な効果が得られるかどうかを見極める必要がある。これは平成28年中に明らかになる予定である。次に、2)第一世代のBK-SE36ワクチンで誘導される抗体と、次世代BK-SE36/CpGで誘導される抗体、これらに質的な違いがあるのかどうかを解析し、もし違いがなければ、CpG添加のワクチンの高次の臨床試験を計画する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)
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