研究課題
昨年度での研究から、パイエル板に代表される腸管関連リンパ組織のリンパ濾胞を覆う上皮領域、follicle-associated epitheliumに存在し、腸管腔内の細菌などの巨大な抗原取り込みに特化した特殊腸管上皮M細胞の分化には、サイトカインRANKLが必要であること、RNAKLの下流に存在するNFκB経路の古典的経路、非古典的経路の両方が働いていることが明らかとなった。すなわち、古典的経路のTRAF6を腸管上皮細胞特異的に欠損させたコンディショナル遺伝子欠損マウスではM細胞は存在しなかった。そこで、M細胞の欠損が腸管免疫系に与える影響を調べるために、腸管上皮特異的TRAF6欠損マウスにおいて、腸内細菌叢の組成を次世代シーケンサーを用いたメタ16Sパイロシーケンス解析法により検討したところ、当該欠損マウスでは野生型マウスとは腸内細菌叢が異なることが明らかとなった。また、M細胞の最終分化マーカーであるGP2陽性のM細胞は小腸パイエル板のリンパ濾胞に多く、それと比較して盲腸のリンパ濾胞には少ない。この違いは、非古典的経路のシグナル分子のひとつであるRelBの発現が、パイエル板では多く、それと比較して盲腸リンパ濾胞では少ないことに起因することを明らかにした。さらに、致死率の非常に高い食中毒を起こすことで知られるボツリヌス菌のボツリヌス神経毒素複合体が、M細胞上のGP2と結合することにより、M細胞を介して効率的に体内に取り込まれることが、ボツリヌス毒素による食中毒の分子メカニズムの一端を担っていることを明らかにした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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