健康・機能状態の社会的格差をライフコースの視点から検証する際、幼少期情報を想起情報に頼らざるを得ないことが多い。代理指標として脚長などの客観的マーカーの利用可能性を検討した。高齢者パネル調査(くらしと健康調査)を用いて脚長(幼少期の栄養状態の代理指標)と親職種、幼少期「生活困難度」との関係を見たが、有意な関係は認められなかった。一方、脚長は、学歴と収縮期血圧の関係を有意に媒介していた。社会経済的要因による社会的選択の影響を考慮し、同朋情報を用いてバイアス補正を検討したところ、同朋との到達学歴の一致・不一致により学歴と健康・生活習慣との関連性が異なっていた。社会的選択の影響を考慮する必要がある。
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