研究課題/領域番号 |
24249043
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
車谷 典男 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (10124877)
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研究分担者 |
木村 弘 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20195374)
緒方 奈保子 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60204062)
佐伯 圭吾 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (60364056)
岡本 希 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (70364057)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高齢者 / 生活機能 / 健康関連QOL / コホート研究 |
研究概要 |
本研究は、奈良県内に在住する65歳以上の独歩可能な男女をエントリー条件として、2007年にベースライン健診を終了させた4427人(当時平均72歳)のコホートの追跡である。2012年2月~12月にかけて、公民館等で断続的に追跡健診を実施した。【結果】追跡健診までに、住民票の照会や郵便調査及び電話調査により、225名の死亡、51名の転居、20名の施設入所、346名の入院・病気療養中、45名の拒否が判明し、追跡健診対象者は3740名であった。(1)受診者は2874名(76.8%)、未受診者は866名(23.1%)であった。(2)低QOLの有意な関連要因は脳卒中・心筋梗塞の既往、糖尿病治療中、視覚機能の低下自覚あり、尿漏れあり、うつ傾向あり、認知機能障害あり、睡眠障害あり、友人のサポートがないことであった。(3)ベースライン時に認知機能が正常であった2335名のうち、241名が新規の軽度認知障害と判定された。ベースライン時の残存歯25-32本に対して、0本のオッズ比は2.39 (95%CI, 1.48-3.86)で、歯牙喪失は軽度認知障害の危険因子であることが示唆された。ベースライン時に嚥下機能が正常であった1988名について、5年間の嚥下障害の累積罹患率は15.7%であった。(4)追跡健診受診者のうち、1秒率70%未満の閉塞性換気障害の割合は31.2%で、慢性閉塞性肺疾患の割合は16.9%であった。(5)老人会や自治会の活動にほぼ毎回参加している群は、そうでない群に比べて、5年間のうつ傾向の累積罹患率が有意に低かった。(6)夜間頻尿と過活動膀胱の有病割合は、45.3%と20.3%であった。(7)加齢黄斑変性の有病割合は1.8%であった。(8)男性における症候的骨折の発生率は1000人年あたり11.7人で、骨粗鬆症性骨折の発生率は1000人年あたり7.2人であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
追跡健診は終了し、生活習慣などを含めた基本情報、健康関連QOL、生活機能、老年症候群や、脳卒中・がん・心筋梗塞・糖尿病・高血圧・脂質異常症など高齢期に多い慢性疾患の罹患の把握、体力測定などのデータと血液試料を入手できた。新しいベースライン情報として、呼吸機能、頸動脈内中膜複合体厚(IMT)、視機能・視力のデータも入手できた。遺伝子解析研究の同意を得ることができた2750名の血液試料からのDNA抽出も完了し、凍結保存している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)追跡脱落者について居住地自治体に消息を問い合わせて、生死・転居を確認する。 (2)生存者を対象に追跡健診を実施する。追跡健診の未受診者を対象に、郵送や訪問、電話調査を実施し、新規罹患、生活機能等を調査する。 (3)QOL水準と生活機能レベルのベースライン健診後5年間の推移とその特徴を明らかにする。
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