研究課題
本研究は、奈良県に在住する65歳以上(ベースライン当時平均72歳)の独歩可能な男女をエントリー条件として、2007年(一部2008年)にベースライン健診を終了させた4427人(当時平均72歳)のコホートの追跡である。高齢者のQOLと生活機能に影響を与える要因を学際的に検討し、超高齢社会の公衆衛生施策に資する新知見を提供することを目的したものである。2012年の追跡健診の未受診者866名を対象に、2013年簡易版追跡健診を実施した。アンケート調査による健康関連QOLと生活機能の把握、医療スタッフによる病歴の問診、脳卒中などのベースライン以降の新規発症の把握、認知機能検査、歯科・嚥下機能検査、身体計測、血液検査を実施した。簡易版追跡健診の未受診者648名を対象に、医療スタッフによる訪問調査を実施し、病歴、健康関連QOLと生活機能、脳卒中などのベースライン以降の新規発症について調査した。その結果、(1)866名のうち、2013年簡易版追跡健診を受診したのは218名であった。(2)訪問調査の対象となった648名のうち、233名が拒否、11名が死亡、16名が転居、長期不在が56名で、294名の訪問調査を完了した。38名が追跡不能であった。(3)歯牙喪失と嚥下障害の関連では、ベースライン時の残存歯27-32本に対して、13-22本と0-12本のオッズ比は2.42 (95%CI,1.61-3.63)と2.49 (1.68-3.69)であり、歯牙喪失が嚥下障害の危険因子であることが示唆された。(4)訪問調査や電話調査により、41名の認知症を把握した。
2: おおむね順調に進展している
2012年の追跡脱落者を対象に、追跡健診と訪問調査を実施した。遺伝子解析研究の同意を得ることができた156名の血液試料からのDNA抽出も完了し、凍結保存している。
(1)Cox’s proportional hazard modelを用いて、5年間の生命予後と要介護度への推移それぞれに独立して影響する要因を明らかにする。(2)多重ロジスティック回帰モデルを用いて、5年間のQOLの低下あるいは生活機能レベルの低下に関連する要因と、それら要因の影響の大きさを明らかにする。(3)重回帰分析に基づいたQOL低下と生活機能レベル低下の予測式を作る。
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http://www.naramed-u.ac.jp/~che/